甘露寺や禰󠄀豆子に意外な秘密が…?『鬼滅の刃』本編では明かされない「裏設定」

(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

吾峠呼世晴氏の漫画『鬼滅の刃』を原作とした最新アニメシリーズ『鬼滅の刃 柱稽古編』が6月30日に最終回を迎え、番組の終了後に最終章『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』が3部作で制作されることが発表された。

鬼舞辻無惨との過酷な戦いを前に、「柱稽古編」は全編を通して敵である鬼との戦闘がメインではなく、柱のもとで鬼殺隊員たちが稽古を受けるという内容が描かれた。それまでの『鬼滅』の雰囲気とは少し違うほっこりする日常シーンも多く、また原作漫画では9話しかない内容をたっぷりとアニメ8話分を使って描いたことで、アニメオリジナルシーンもふんだんに盛り込まれ、各キャラの掘り下げも多かった。ファンにとってはたまらないシーズンだったのではないだろうか。

さて、アニメ『鬼滅の刃』では、エンディングの後に「大正コソコソ噂話」という小ネタや設定が明かされるおまけコーナーが放送されるのがお決まりだ。「柱稽古編」の最終話では「無限列車編」で命を散らせた炎柱の煉獄杏寿郎が声で登場した。

恋柱の甘露寺蜜瑠によるコソコソ噂話で煉獄は大食らいであることが明かされ、かつて煉獄と甘露寺が釜いっぱいに炊いたサツマイモご飯を2人で食べたという小ネタが紹介された。その後、どこからか「懐かしいな。俺も覚えているぞ。いよいよ鬼舞辻との戦いだな。頼んだぞ」と煉獄によるセリフがあり、2人を鼓舞するというファンサービスまであった。

「大正コソコソ噂話」は原作漫画でも話と話の間の余白で描かれており、ファンにとってのお楽しみの一つであるが、中にはとんだ裏設定まで紹介してくれることもある。

■甘露寺のピンク髪の秘密や禰󠄀豆子の爆血の秘密

たとえば、恋柱の甘露寺についての「大正コソコソ噂話」。彼女の長い髪の毛はピンク色から黄緑色のグラデーションという大変珍しい色をしているが、これは「大好物の桜餅を食べすぎて髪の毛の色が変わった」というトンデモな理由によるものだ。

これはコミックス第6巻の「大正コソコソ噂話」で暴露されており、上記の作者のコメントに対して、イラストの甘露寺は恥ずかしそうに顔を赤らめ、「お願いだから人に言わないで〜」とセリフが描かれている。さらに公式ファンブックでは1日に170個の桜餅を8か月に渡って食べ続けたことが明かされている。

物理的にはあり得ない現象だが、そもそも4万個もの桜餅を食べることなど到底できない。彼女はいろいろな意味で規格外なのだ。なお、山盛りの桜餅を前に幸せそうにしている甘露寺の姿はアニメでも描かれている。

続いては、炭治郎の妹の禰󠄀豆子が、自身の爪で戦う理由について。禰󠄀豆子は鬼と戦う際、たびたび炭治郎と共闘するが、強い攻撃力を持つ血鬼術「爆血」を使うことは意外にもあまりなく、尖った爪や足での蹴りを多用している。

この理由についても7巻の「大正コソコソ噂話」で明かされている。作者によると、禰󠄀豆子は「血を使いすぎると眠ってしまうから」だとか。確かに人の血を飲まない禰󠄀豆子は作中でもよく眠っており、体力を温存しているように思える。

それでも、いざというときは惜しみなく「爆血」でサポートしてくれるのだから頼り甲斐がある。

■50体の鬼を倒すことで鬼殺隊の柱に

さて、『鬼滅の刃』には鬼殺隊の最高位に立つ柱が9人登場するが、そもそも柱や継子にはどうやったらなれるのだろうか。

「大正コソコソ噂話」のようにコミック第11巻の余白で紹介された「鬼殺隊QアンドA」では、「ノブオくん」という謎の少年(?)の質問に作者が答えるという形で、柱や鬼殺隊に関する素朴な疑問に回答がなされた。

それによると、柱になるには十二鬼月を倒す、もしくは鬼を50体倒すことが必要なんだそう。

ちなみに継子には申請して柱が承諾する、あるいは柱からスカウトされればなれるとのこと。基本的には同じ呼吸が望ましいが、違う呼吸であっても継子にはなれるようだ。

実際に、作中では炎柱の煉獄が炭治郎を継子にスカウトしていた。恋柱の甘露寺も煉獄の継子であるが、アニメ「遊郭編」の「大正コソコソ噂話」で語られていたとおり、もともと煉獄には継子はいなかったようだ。その理由は稽古がつらすぎてみんな逃げてしまうため。甘露寺の真面目さと努力家な一面が伝わってくる。

さて、今や世界中で人気となった『鬼滅の刃』だが、別のタイトル案も多くあった。1巻ではこのほかのタイトル候補に『鬼滅奇譚(きめつきたん)』『鬼鬼滅滅(ききめつめつ)』『悪鬼滅々(あっきめつめつ)』『鬼殺の刃(きさつのやいば)』『滅々鬼譚(めつめつきたん)』『鬼殺譚(きさつたん)』『空想鬼滅奇譚(くうそうめつきたん)』『鬼狩りカグツチ(おにがりかぐつち)』『炭のカグツチ(すみのかぐつち)』などの案があったことが明かされている。

語感の似ている『鬼殺の刃』からまるで別作品のような『炭のカグツチ』までバラエティ豊かなラインナップだ。

なお、吾峠氏がデビュー前に、第70回JUMPトレジャー新人漫画賞で佳作を受賞した読切は『過狩り狩り(かがりがり)』というタイトルで、鬼と戦うという『鬼滅の刃』を思わせる作品だった。その後、『鬼殺の流(きさつのながれ)』なる作品のネームを作成し、それが吾峠氏の初連載作となる『鬼滅』へと繋がった。この頃から話の筋は大方決まっていたであろうことが想像できるが、やはり『鬼滅の刃』は『鬼滅の刃』が一番しっくりくる気がする。

このほかにも、『鬼滅の刃』にはたくさんの驚きの「コソコソ話」が存在する。作品の外の部分でもキャラクターのことを知れると、より物語に深みが増すはずだ。

© 株式会社双葉社