瞽女文化 伝承の拠点に 杉本キクイさん旧宅跡 市に保存陳情 上越市のNPO

陳情後、瞽女ミュージアム高田で記者会見を行った(左から)小川善司事務局長、広瀬教授、濁川理事長、斎藤さん

NPO法人高田瞽女の文化を保存・発信する会(濁川清夏理事長)は10日、上越市役所で中川幹太市長に高田瞽女の杉本キクイさん旧宅跡を保存を求める陳情を行った。同NPOは建物跡が瞽女文化を後世に伝える拠点となることを望んでいる。

同市東本町4の旧宅は最後の高田瞽女、杉本さんらが暮らし、その後は一般の住宅として使われてきた。築150年ほどで老朽化が進み、今年4月後半に解体された。同NPOは建物の保存を試みたが断念。5月から跡地活用の署名運動を開始した。

濁川理事長は9日までに集まった1506人分の署名を持ち、国立民族学博物館(大阪府吹田市)の広瀬浩二郎教授、民俗学を専門とし同NPOに設立時から携わる斎藤弘美さんらと中川市長を訪問した。陳情は跡地を同市が習得し、保存・活用することを要望するもので、「市長も(同NPOの)立ち上げ時からの会員で、瞽女の活動に思い入れがある。瞽女の聖地なので何とか守りたい」と思いを話した。

広瀬教授は「9月から(同館で)世界の吟遊詩人を特集する特別展で瞽女を紹介する。連動して、高田から瞽女文化を発信したい」、斎藤さんは「(旧宅の)は瞽女の記憶をとどめ、物語を紡ぐことができる場所」と話した。

杉本キクイさんの旧宅跡。同NPOらが草刈りなどを行っている

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