横断歩道で「とまっ手」 茨城・水戸の千波中生 小学校前で啓発

水戸市立千波中の生徒(左)の誘導で横断歩道を渡る市立千波小の児童=同市千波町

歩行者が手を上げてドライバーに道路の横断を伝える茨城県水戸市のスローガン「とまっ手Mito」を広めようと、市立千波中(同市千波町)の生徒代表が啓発活動に取り組んでいる。10日朝、同校から約1キロ離れた市立千波小前(同)の信号のない横断歩道で、生徒代表が市道を行き交う車に一時停止を求めて児童の安全な登校を促した。児童に対しては一時停止した車の運転手へ感謝を伝えることの大切さを教えた。

同中は昨年11月、市内で開かれた中学生安全サミットで、交通マナーについての発表を行った。生徒として市のスローガン「とまっ手Mito」の実行を宣言する一方、大人にマナー改善を求めた。啓発活動は、同サミットでの発表に基づく取り組みで、同中全体で推進している。

この日は午前7時半から同中の生徒7人が同小校門前に立った。同中の教員、市の交通安全指導員らも支援した。生徒は児童を誘導するために何度も横断歩道を往復。「安全と思ったら右手を上げて、渡り終わったら車にお辞儀してね」と声をかけた。参加した同中2年の菅野甚太さんは「自宅近くの横断歩道も、なかなか車が止まってくれない。自分から手を挙げて活動を県内、全国へ広げたい」と意気込みを語った。

「とまっ手Mito」は、市が信号機のない横断歩道で車の一時停止率を上げようと始めた。日本自動車連盟(JAF)による2023年の調査によると、一時停止した車の割合は茨城県が全国ワースト5位の27.6%だった。市の22年の調査では、車の一時停止率が28.1%だったところ、手で車に合図を送ると一時停止率が81.3%に大きく向上したという。

同中3年の石井葵さんは「上級生になるにつれ、恥ずかしさで手を上げなくなった」と自身の小学生時代を振り返り、「家族や友達に伝えて『とまっ手Mito』をみんなの当たり前にしたい」と意欲を示した。

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