東京都知事選は日本最大の無党派層の奪い合い!蓮舫氏が伸び悩んだ背景にあるものは?選挙ドットコムちゃんねるまとめ

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2024年7月10日に公開された動画のテーマは「2024東京都知事選・蓮舫氏について」

7月7日に生放送された、東京都知事選の選挙特番を編集してお届けします。

今回の記事のテーマは、今回の都知事選で3位となった蓮舫氏について。事前調査の結果から失速に終わったのはなぜか。元知事経験者と政治記者、出口調査の結果から振り返ります。

【このトピックのポイント】

  • 「リベラルすぎ」イメージがズレた原因は「エコーチェンバー」か
  • イメージがアップデートされないのはなぜ?知事経験者が分析
  • 300万の無党派層を取り込むには、単なる国政野党の政治家ではダメ

「ちょっとリベラルすぎた」蓮舫氏がうまくハマらなかったカギは「エコーチェンバー」

都知事選でもともと2番手と目されていた蓮舫氏。出口調査の結果で3番手に終わりそうです。事前調査から伸びきらなかったのはなぜでしょうか。

蓮舫氏とは、「(参議院の)女性議員は党派を超えて仲良し」と語る自民党の太田房江参院議員は、小池氏が現職知事として公務優先の姿勢を貫いた結果、街頭演説での露出が少なくなり、同じ土俵の上で戦わなかったことが、蓮舫氏のテレビでの露出をものすごく下げてしまったと振り返ります。

太田房江氏「同じ土俵で戦いに来なかったというのは戦略かもしれません。こういう選挙では、テレビによく出ていることが強さにつながりますよね」

立憲民主党の米山隆一衆院議員は、都知事選の期間中に蓮舫氏の応援サイトを作成・公開するなど、蓮舫氏の選挙戦を見守ってきました。実際に演説会にも足を運んだ米山氏から見た蓮舫氏の選挙戦には、戦略的な判断ミスがあったと語ります。

そのキーワードとなるのが、昨日の記事でも紹介されていた「エコーチェンバー理論」です。

米山隆一氏「エコーチェンバー理論から言ってロックでシャウトしすぎたのかと。ちょっとリベラルすぎたところがある」

選挙戦最終盤、蓮舫氏の演説会に赴いたという米山氏は「演説会の中にいると、すごい心地いいんですよ。本人と聴衆のコール&レスポンスもあって」と振り返ります。

しかし、その会場の熱気が「ポップなところに向かわなかった」と残念そうに語ります。しかも、演説会のYouTubeを聴くと「その場でおおという(聴衆の熱狂)が聞こえない。蓮舫さんがわぁーって喋っているのしか聞こえず、怖く感じる」という編集方針にも問題があると指摘します。

米山氏「言葉遣いやワーディングもリベラルっぽいわけですよ。これではこれはJ-POPの人、まして演歌の人には刺さらない。もう少し……チェッカーズ的な、『ギザギザハートの子守唄』くらいにしておけばよかったんじゃないかな……」

蓮舫さんはイジられるのが苦手?イメージがアップデートされない理由

米山氏は、保守地盤の新潟県で、リベラル系として知事選に勝ってきた経歴をお持ちです。自分の支持層を固めつつも無党派で過半数を勝ち取り、自民党支持層にも食い込んで、初めて勝てるようなものだろう、とMC鈴木邦和が問いかけます。

MC鈴木邦和「今回の蓮舫さんの戦略は、立憲民主党と日本共産党の支持層を固めるところは見えましたが、無党派層や自民党の切り崩しはもともとあったのでしょうか。それでもエコーチェンバー的になり、偏ってしまったのでしょうか」

米山氏は、「当然、無党派層、保守の取り込みはみんなが意識しているはずのこと」と前置きしながら「エコーチェンバーの中にいる人は、自分がエコーチェンバーの中にいるとは思っていない。これが中道でこれが保守だと思っているわけですよ」とし、戦略のズレに気付かなかったことがエコーチェンバーであると喝破します。

米山氏「無党派向けって思っているのが、それ無党派向けになっていないよとは感じにはなってたと思いますね」

本来、選挙ではとても強い蓮舫氏。どこで戦略のズレが生まれたのでしょうか?

米山氏「自分の視点と第三者の視点を入れたらよかったかもしれないけれど、そこがリベラルの弱いところ。第三者を入れたがらない。石丸さんはその手の選挙参謀が入っていましたよね」

太田氏は、「蓮舫さんは今回離党して、演歌の大好きな人たちにも振り向いてもらいたいと、将来を考えておられたと思うけれど、ロックでえいえいやってるうちに、外の演歌の人たちが見えなくなっちゃったのかな」と慮った上で、政策の方向性に疑問を投げかけます。

太田氏「蓮舫さんは仕分けを前に出すけれども、自民党の中では公務員になる人が減ったとか、辞めちゃう人が多いということが問題になっています……かけるべきところには人件費を含めてお金をかけないと、行政も含めて政治がおかしくなってしまうのでは」

積極財政とまでは言わないまでも、必要なところには必要な投資をしていくことが、日本にとっても政治にとっても行政にとっても大事なところだと語ります。

太田氏「身を切る改革じゃなくて、実のある改革という意識が強くなってきているんですよ」

MC鈴木邦和「蓮舫さんに対する世間のイメージと、本人の思いや人柄とのギャップがすごいある」と指摘します。

MC鈴木「蓮舫さんは事業仕分けで有名になったけれど、それ以外にも引き出しがたくさんある。それなのに印象がアップデートされないのはなぜなのでしょう?」

米山氏は「印象を変えるのは簡単ではない」と、自身の苦い経験を踏まえつつ、「印象を変えようと思ったら、かなりイジられなければならない」と苦笑いします。

米山氏「蓮舫さんはイジられるのが苦手な人」

太田氏「そうねえ……たしかに」

東京都知事選は300万の無党派層の奪い合い。単なる「アンチ」では勝てない

続いて、現役政治記者の今野・水内コンビとJX通信社米重克洋氏のパートから、蓮舫氏の戦いについて振り返ります。

水内茂幸氏「やっぱり蓮舫さんが3位なのは、いちばん驚く」

とはいえ、水内氏は「僕から見ると必然だったな、という感じも正直するんです」と、立憲民主党のある議員からのメッセージを紹介します。

水内氏「蓮舫氏の戦いを統括していた立憲民主党・手塚仁雄衆院議員が、当選者ひとりの小選挙区の戦いと同じなので、立憲と共産の票を固めれば勝てると言ったと」

今野忍氏「同じような話、聞いたことある」

水内氏に寄せられたメッセージは、いざ選挙戦に出てみると、共産党とべったりという印象しか受けなかった、と続きます。

水内氏「共産党の参院議員がたくさん来たり、赤旗系でも蓮舫さんの広報紙ですかというようなものもありましたよね」

今野氏「3日前、衝撃的だったのは、立憲民主党の中でも保守系の論者である野田佳彦氏と共産党の志位(和夫)議長が同じ場所で街頭演説したんですね。並びはしなかったけれど。それを仕組んだのも手塚さんなんですよ」

水内氏は、「東京都知事選は日本最大の無党派層の取り合い合戦。無党派層が安心できる人ではないとダメだと思うんですよね」

水内氏は、立憲民主党が共産党にべったり乗ることで、共産党系ではないかもしれない「活動家的な人たち」まで集まり、「一体になって、自分たちだけで選挙戦が盛り上がっているように見えた」と指摘します。

水内氏「そういうのを見ると、無党派層の人たちだって、これはおっかないというか、じわじわとした恐怖感を感じるのではないか」

その結果、今春の衆院補選・東京15区で獲得できた立憲民主党の無党派層が、全然取れなくなっているということにつながった……と指摘します。

今野氏「情勢調査を見ると、無党派層は石丸さんがいちばん取っている。小池さんより取っている。36%かな、小池さんは30%、蓮舫さんは石丸さんの半分しか取れていない」

東京都知事選は日本最大の選挙です。人口1400万人の東京都、予算規模はスウェーデンの国家予算に匹敵します。

有権者数は約1100万人、1つの選挙区が30万人くらいの大きさです。

今野氏「これは衆院選にしたら30〜40ヵ所の選挙ですよね。投票率50〜60%とすると500〜600万票。自民党や公明党・創価学会、日本共産党などの組織票を全部抜くと無党派層が300万票。実は1000万人の首都の有権者の票でも、300万票の取り合いなんですよね、あとは決まっている固定票」

300万票の取り合いの中で石丸さんが「ごそっと取っていった」今回の選挙、今野氏は「共産党とガッツリ組んだことで無党派が離れていったという分析も正しいけれど、それ以上に石丸さんにかっさらわれたんだろうな」と総括します。

水内氏「石丸さんが本当にすごかったですよね」

水内氏は、蓮舫氏の今回の選挙での敗北が共産党との距離が近すぎたことや、「反自民・非小池」の姿勢にあったのではないかと、JX通信社の米重氏に問いかけます。

米重氏は、ここまでの調査結果からは共産党の影響かどうかは見えづらいと前置きした上で、第三極となる無党派層の思考を分析します。

米重克洋氏「民主党政権に対する評価が低いのはわかっていた。2009年からの民主党政権に対する評価が低く、既成政党の中で選ぶなら自民党・日本維新の会・国民民主党、立憲民主党の一部に散らばっていたのが全部、石丸氏にまとめられたというのが今回の選挙結果」

その上で、「蓮舫さんが往時の民主党的なものの象徴として見られた。事業仕分け、好感度の低さといった原因も真剣に考えなければいけないなあと感じる」と分析します。

水内氏「声を聞くだけでもいや、みたいな人もいたんですよね……昔の刷り込みみたいなのがあるのかな」

米重氏が指摘するのは、これまで蓮舫氏が戦ってきた参院選と、今回のトップ取りが求められる都知事選との違いです。

米重氏「参院選の中選挙区では上位5〜6人に入れば当選します。したがって、多くの場合、自分たちの支持層をがちっと固めれば当選ラインには上に行く」

今野氏「ただ蓮舫さん、票も減らしていたんですよね。最新(2022年参院選)で67万票くらい。それまで100万票とか言っていたから、ガクッと減らしてはいたんですよね」

当時は、立憲民主党から2人候補者がいて票割れの原因になってはいるものの、政党ラベルについてきた票を蓮舫氏がガチッとつかんでいたという構造だと分析します。

米重氏「この枠から今回出ようとして、うまくいかなかった。そこにブロッカーがあったのでしょう。政策なのか好感度なのか個人によるものなのか共産党なのか、まだ分析しきれていない」

今野氏「政治記者的な観点で見て思ったのは、国政の野党の政治家から脱皮できないまま、都知事選を戦っていた印象がある」

今野氏「結局やっていることは自民党批判や小池都政批判をするんだけど、で、それでどうするんですか?って。参院の予算委員会で政権を追及するときはあのスタイルでいいんだけど……」

動画本編はこちら!

蓮舫氏、都知事選で伸び悩んだ背景は「エコーチェンバー」?背景を徹底討論!

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