朗希の“歯車”は「開幕前からズレていた説」急浮上…メジャー挑戦どころじゃない深刻事態

佐々木朗希(C)日刊ゲンダイ

右腕のコンディション不良による登録抹消から1カ月近くたつのに、いまだ戦列に復帰していないのが佐々木朗希(22=ロッテ)だ。

今季は開幕から、ストレートの平均球速が160キロに迫っていた昨季とは別人のような投球が続いていた。4月30日のオリックス戦までの5試合で、球速が160キロを超えたのは4月23日のソフトバンク戦だけ。あとの4試合は、いずれも球速が160キロに満たなかった。「あえて出力を落とすことで故障を未然に防ぎ、万全の状態で今オフ、海を渡るつもりなのでしょう」と、ア・リーグのスカウトはみていたが、どうやら真相は違うようだ。

■ブルペンでクビをひねって…

「実際は速い球を投げたくても投げられなかったのですよ」と、ロッテOBはこう続ける。

「正確に言えば、キャンプからずっとストレートの調子が悪かったのです。ブルペンでも球が走らず、本人は『トレーニングが合わないのかなぁ』などとクビをひねっていたそうですからね。朗希は複数の場所でトレーニングを積んでいるそうで、その影響なのかどうか……」

昨年まで当たり前のように投げていた160キロを投げたくても投げられないというのは、結果としてフォームのメカニックがおかしくなっている、どこかの歯車がズレているのではないか。だとすれば、問題は深刻だ。

■肩肘への負担は当然

5月10日の日本ハム戦で六回途中、8安打5失点と打ち込まれると、続く17日の同カードからリベンジとばかりに出力を上げた。160キロ超のストレートを12球も投げた。24日のソフトバンク戦も4月に3失点で敗戦投手になったリベンジか、160キロ超のストレートを連発した。コンディション不良で最初に登録を抹消されたのは、この2試合の後だ。

本来の投球ができないのにあえて出力を上げたとすれば、肩肘に負担がかかって当然。戦列復帰して中14日で6月8日の広島戦で勝ち投手になったものの、この試合は160キロ超が1球もなし。13日に再び登録を抹消されていまに至っている。

「現在はファームで調整中。キャッチボール程度はやっているらしいから、故障はしていないのでしょう。一軍の首脳陣にも故障しているという報告は上がっていないようです。朗希は故障に関して人一倍、神経質。大事に至る前に必ずブレーキを踏みますからね。少しでも違和感があれば、絶対に無理はしません。岩手の大船渡高時代からそういう選手だったそうですから」(前出のOB)

■脆弱以前の問題

佐々木は昨年まで、年間を通じて一度もローテーションを守った経験がない。昨オフは強硬にメジャー挑戦を主張した経緯があるだけに、プロ5年目の今年こそフル回転するかと思ったら、すでに2度も戦列を離れている。

吉井監督は佐々木の復帰に関して、「トレーナーと朗希がどう感じているかによる。そこは〝いけるぞ〟というのを待ってから行きたい」と話している。つまり佐々木の方から「行けます」といってくるのを待っている状態だ。

佐々木のポテンシャルはハンパじゃない。速球とフォークの質はメジャーリーガーの中でもトップクラス。投手としての資質は、あのダルビッシュ(37=パドレス)や大谷翔平(30=ドジャース)をしのぐといわれている。しかし、それも、本来の力を発揮することが大前提。あくまでも速球の平均球速が「160キロ」を出せる状態だからこその評価なのだ。

中6日のローテーションを守れない投手が、中4日や中5日で先発するメジャーで投げられるのかという疑問は、登板間隔を含めた起用法などで対処できる。つまり脆弱な部分は解決するかもしれないが、それ以前に本来のピッチングをしたくてもできないことは大問題。仮にフォームのメカニックそのものがおかしくなっているようなら、メジャー挑戦どころの話ではなくなってしまう。佐々木の今後が心配だ。

◇ ◇ ◇

佐々木はメジャー挑戦に向けて昨オフ、母親のバックアップを受けつつ「強硬姿勢」に出たのは記憶に新しい。もともと控えめな性格と言われていただけにその「豹変ぶり」は周囲に衝撃を与えたが、実はメジャー挑戦の野望は高校時代から抱いていたという。いったいどういうことなのか。

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