楽天・則本を育てた野球指導者“暴力合宿”の一部始終 中学生を殴り、頭部に包丁突きつけ恫喝

合宿に参加していた大人も、誰ひとり、小寺学容疑者を止める者はいなかった(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

「殺すぞ、マジで」「オレは平気で刺すぞ。人刺すのは簡単やから」

プロ野球「東北楽天ゴールデンイーグルス」の投手、則本昂大(33)を育てた指導者はバットを包丁に持ち替えて教え子たちをブン殴り、恫喝していた。

野球チームの合宿中、指導していた中学生に殴る蹴るの暴行を加えたとして、滋賀県近江八幡市の「滋賀ポニーGLOWベースボールクラブ」指導者の小寺学容疑者(43)が9日、傷害や暴行、暴力行為等処罰法違反の疑いで県警近江八幡署に逮捕された。

チームは5月11~12日に、1泊2日の予定で、近江八幡市内のスポーツ施設で合宿を行っていた。

初日となった11日の夕食後、小寺容疑者は中学1年生の男子A君(12)と同2年生の男子B君(13)に夕食会場となっていた和室にそのまま残るよう命じた。

小寺容疑者はそこでA君の顔面やボディーに正拳を見舞わせ、続けて裏拳、さらにバチーンと平手打ちを食らわせるなど、数十回にわたり、暴行を加え、さらに顔や胸を足蹴にして踏みつけた。返す刀で同じチームのB君の頭部や顔面にパンチを浴びせ、台所から持ち出した包丁を頭部に突きつけた。包丁をキラリとチラつかせ、机をトントン叩きながら、冒頭のように「殺すぞ、マジで」とスゴんだという。

「説教は午後11時ごろから始まり、最初は練習態度などについて注意されていたようですが、練習が終わってから数時間が経過していたため、中学生2人はどのプレーのどこに問題があったか、分からないまま小寺に暴力を振るわれた。小寺は一切、口をつぐんでいるため、暴行に至った理由については不明です」(捜査事情通)

則本ほか複数のプロ野球選手を育てる

「鉄拳制裁」は翌朝5時まで約6時間にわたって続けられ、その間、中学生2人は土下座を強制されることもあった。他のチームメートやチーム関係者も時折、食事会場に出入りしていたようだが、合宿に参加していた大人のスタッフも含め、誰ひとり、小寺容疑者の「暴走」を止める者はいなかったという。

合宿終了から2日後の5月14日、被害に遭った中学生の保護者から、「子どもが殴られてケガをした」と警察に相談があり、事件が発覚した。

調べに対し、小寺容疑者は「やってません」と容疑を否認しているというが、警察は日常的に暴力行為があったとみて、調べを進めている。

小寺容疑者は専門学校卒業後、スポーツトレーナーとして野球の個人授業を始め、2005年から「キムラ野球塾塾長」としてジュニア選手の指導にあたっていた。トレーナーの知識を生かし、中学時代の則本を指導するなど、これまで複数のプロ野球選手を育てたというが、よくもまぁ、こんな「チンピラもどき」の暴力指導者が「塾長」などとチヤホヤされたものだ。

周囲が何も言えないのをいいことに、立場の弱い教え子にやりたい放題とは、クズ野郎としか言いようがない。

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