山村辰美さん死去 80歳 ツシマヤマネコ保護に尽力

餌を待つツシマヤマネコのための給餌作業に当たる山村さん=2012年9月、対馬市上県町

 対馬島内での生息数が推定100匹と絶滅が危惧される国天然記念物ツシマヤマネコの保護に尽力し、対馬市のNPO法人「ツシマヤマネコを守る会」の会長を務めた山村辰美(やまむら・たつみ)さんが5日、悪性リンパ腫のため福岡県内の病院で死去した。80歳。葬儀は近親者で執り行われた。
 対馬市上県町生まれ。2007年3月まで県対馬地方局上県土木出張所に勤務した。20代の頃、シイタケ栽培を手伝うため父と山に入った際にツシマヤマネコと遭遇。以後、その生態を伝えようと山で撮影を行い、写真を公開することで保護への賛同を広げた。
 1993年にツシマヤマネコを守る会を結成し、会長に就任。小動物など餌の不足を受け、生息地での給餌、痕跡調査などに取り組んできた。一連の調査などは97年の環境省対馬野生生物保護センター(同町)設立の契機にもなった。近年は餌場保全のため、同会が独自に設けた「保護区」での植樹活動を展開していた。

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