股関節のケガでウインブルドン棄権のデミノーが経緯を説明「リスクが大きすぎた」。ジョコビッチが13度目の4強に<SMASH>

非常に心配なニュースである。現在開催中のテニス四大大会「ウインブルドン」の男子シングルスでベスト8に進出していたアレックス・デミノー(オーストラリア/世界ランク9位)が、現地7月10日に予定されていたノバク・ジョコビッチ(セルビア/同2位)との準々決勝を股関節の負傷により棄権した。

今年1月に自身初のトップ10入りを達成するなど好調を維持している25歳のデミノーは、今大会も失セット数をわずか1(うち3回戦は不戦勝)に抑えて8強入り。しかし8日のアルトゥール・フィス(フランス/34位)との4回戦終了後には足を引きずるような仕草を見せながらオンコートインタビューを受けていたため、状態が不安視されていた。

デミノーは10日の記者会見で無念の思いを口にするとともに、準々決勝の棄権を決断した経緯を次のように説明した。

「とてもショックですが、股関節のケガのため棄権せざるを得ませんでした。内転筋の先端にある繊維軟骨に小さな裂傷があるとのことです。フィスとの試合の最後の3ポイントで(股関節周辺から)大きな音がしたので、昨日検査をしたところ、ケガを負ったことが確認されました。このままプレーし続けると、さらに悪化するリスクが高いとわかりました」
「今日の試合が私のキャリアにおいて最大の試合になることは明らかでした。私はプレーするためにできることは何でもしたかったのですが、昨日そういう検査結果が出ました。今日は目覚めた時に奇跡が起こって、歩いている間に痛みを感じないことを願っていました」

その後改めてデミノーは今回のケガが予想よりも深刻であることを強調。「プレーする上での問題点は、たった1回のストレッチやスライディング、何か1つの動きで、3~6週間から4カ月ものケガになってしまうことです」とし、「(今日の試合を戦うのは)リスクが大きすぎました」と締めくくった。

これによりジョコビッチはウインブルドン最多8度の優勝を誇るロジャー・フェデラー(スイス/元1位/引退)に並ぶ大会13度目のベスト4進出が確定。6大会連続(※20年は不開催)の決勝進出を懸け、現地12日に行なわれる準決勝では第25シードのロレンツォ・ムゼッティ(イタリア/25位)と対戦する。

現時点でデミノーは今月末開幕のパリ五輪(テニス競技は7月27日~8月4日)に単複でエントリーしているが、回復までに3~6週間となると出場は難しい状況だ。だが股関節のケガは選手生命を脅かす危険があるだけに無理だけは避けてほしいところ。とにかく今は治療に専念してほしい。

文●中村光佑

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