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『ガンダム』シリーズには、これまで数々のモビルスーツ(MS)が登場してきた。そのなかでもとくに目を引くデザインが、「獣モチーフのMS」だろう。ガンダムやザクなど汎用性の高い人型のMSが多いなか、獣モチーフのMSはそれほど数もなく、ゆえに特殊な存在感を放つ。
そこで今回は、歴代の『ガンダム』シリーズのなかでも「斬新なデザインにビビった」個性派の獣モチーフMSを紹介する。その独特な魅力と作中での活躍に迫っていこう。
■狼? 虎? 四脚のMS『機動戦士ガンダムSEED』バクゥ
『機動戦士ガンダムSEED』および、そのシリーズに登場する四脚の動物型MS「バクゥ」。『機動戦士ガンダムSEED』第16話「燃える砂塵」で、初の本格戦闘を見せた。
月夜の砂漠、地上戦に慣れていないアークエンジェルとストライクガンダムに一斉に襲いかかる姿は、まさに狼の群……。そして、キラ・ヤマトのストライクガンダムを圧倒し苦しめた。隊を指揮するアンドリュー・バルトフェルドが「所詮人型 この砂漠でバクゥには勝てん」と豪語するが、それにも頷けるだろう。
その後の話では、指揮官用として作られたバクゥの上位機種「ラゴゥ」も登場する。こちらは、搭乗者バルトフェルドの異名“砂漠の虎”を彷彿させるオレンジカラーで、さらに砲手アイシャを乗せた複座型の珍しい機体だった。
続編『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』では、状況によって人型と獣型を使い分ける「ガイアガンダム」も登場。さらにOVA『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 -STARGAZER-』では、バクゥのグレードアップモデル「ケルベロスバクゥハウンド」がミューディー・ホルクロフトが乗るブルデュエルガンダムに一斉に襲いかかるというシリーズ屈指のトラウマシーンを生み出している。
いずれも、獣型のMS・バクゥだからこその恐ろしさがそこにはあった。
■死を運ぶ鳥『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』ナイチンゲール
小説および漫画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』に登場する新生ネオ・ジオン軍ニュータイプ専用MS・ナイチンゲール。名前の由来となったナイチンゲールは、西洋のウグイスとも言われるほど美しい鳴き声を持つ一方、和名を「小夜啼鳥(サヨナキドリ)」といい、"死を運ぶ鳥”ともされるいわくつきの鳥だ。
本作は、劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のパラレルワールドであり、ナイチンゲールはシャア専用のMS「サザビー」と同じ立ち位置の機体として登場する。
新生ネオ・ジオン総帥であるシャア・アズナブルの冒頭の演説シーンから登場したナイチンゲール。民衆の前に現れたその真っ赤な機体は、圧倒的なラスボス感を漂わせていた。
その迫力ある姿の一方で、移動時は「チチチ」と小鳥のさえずりのような音を出し、両翼のバーニアで飛んでいる姿はまるで鳥のようにも見える。また肝心の戦闘でも、アムロの乗るリ・ガズィ、さらには新配備されたHi-vガンダムをも圧倒する性能と多彩な武器を見せていた。
しかし最終的には、Hi-vガンダムの攻撃によりコントロールを失い、ナイチンゲールはシャアの野望とともに宇宙の塵になってしまった。
■ロマンあふれる人馬一体型『ガンダムブレイカー バトローグ』ガンダムバルバタウロス
最後に紹介するのは『ガンダムブレイカー バトローグ』に登場する人馬一体型の機体「ガンダムバルバタウロス」だ。
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のガンダム・バルバトスをベースに作られた機体であり、ホワイトカラーのバルバトスに対し、こちらはブラックを基調にしたヴィラン感あふれるカラーリングで非常にカッコいい。
そして、特徴である人型の上半身に馬のような四足の下半身は、ギリシャ神話に登場するケンタウロスそのものである。
本機の搭乗者でありビルダーはマハラ・ケンタロウで、非常に優秀な人物だったが、ガンプラバトルの全米大会でナギツジ・タクマに敗れてしまい、復讐心にかられ事件を起こす。そのとき使われたのが、攻勢プログラム“ランナープリズン”と、このガンダムバルバタウロスだった。
主要な武器に、太刀や馬らしいテイルブレードなどがあるが、本機最大の武器はやはりツインブレードを連結させた電磁投射大弓だろう。ガンダムシリーズで弓系の武器は珍しく、特殊矢を超高速で放つ必殺技・ラウズダインスレイヴが非常に強力だった。
最終的には、追い詰められたマハラによって暴走させられ、少し残念な最後を迎えたが、人馬一体型のその姿は、非常にロマンあふれる機体だった。
今回は、『ガンダム』シリーズのなかでもデザインが個性的だった獣モチーフMSを紹介してきた。いずれもその獣モチーフの特徴的なデザインはもちろん、そこから来る動きや性能にも驚かされた。
次に登場するMSは、どんなデザインでどんな活躍を見せてくれるのだろう。非常に楽しみだ。