WEC第5戦開幕、ル・マンを終え、シリーズチャンピオンを賭けた争いが始まる【サンパウロ6時間 プレビュー】

2024年7月12日〜14日(現地時間)、WEC(世界耐久選手権)第5戦サンパウロ6時間がブラジル・サンパウロ郊外のインテルラゴス・サーキットで行われる。シリーズのメインイベントであるル・マン24時間を終え、WECは今週末の第5戦サンパウロ6時間よりシーズン後半戦に突入。焦点はチャンピオンシップ争いに移り、熟成されたマシンによる戦いはさらに激しくなっていく。

ポルシェ、フェラーリ、トヨタの三つ巴の戦いへ

前戦ル・マン24時間はフェラーリの2連覇、トヨタの惜敗で幕を閉じたが、シリーズ前半戦をリードしていたポルシェがそのル・マン24時間で敗北したことで、シリーズ後半戦の行方、チャンピオンシップ争いはいよいよ予断を許さない状況となってきた。

接戦が続く2024年のWEC。ポルシェがリードしているものの、フェラーリ、トヨタが僅差で続く、混戦模様となっている。

2024年のWECは全8戦が組まれているので、まだ半分を消化したばかりで、11月初めの最終戦バーレーン8時間に向けて、ここからが正念場ということになる。

今シーズンのハイパーカークラスの争いは、ポルシェをフェラーリ、トヨタが追う形となっているが、世界の名だたる9メイクスが威信を賭けた戦いは激しさを増しており、毎レースごとに行われるアップデート、変更される性能調整(BoP)などにより、レースが始まってみないと力関係はよくわからない状況だ。

【参考】2024年WEC世界耐久選手権ドライバーズランキング(第4戦終了時)

1位 エストレ/ロッテラー/バンスール(ポルシェ) 99
2位 フオコ/モリーナ/ニールセン(フェラーリ) 90
3位 小林可夢偉/デフリース(トヨタ)82
4位 スティーブンス/アイロット(ポルシェ) 60
5位 キャンベル/クリステンセン/マコヴィキー(ポルシェ)56
6位 グイディ/カラド/ジョビナッツィ(フェラーリ)48
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8位 ブエミ/ハートレー/平川亮(トヨタ)44

【参考】2024年WEC世界耐久選手権マニュファクチャラーズランキング(第4戦終了時)

1位 ポルシェ 108
2位 フェラーリ 99
3位トヨタ 96
4位 アルピーヌ23
5位 BMW 21

【参考】2024年WEC世界耐久選手権スケジュール

第1戦:3月2日/カタール1812km(カタール)
第2戦:4月21日/イモラ6時間(イタリア)
第3戦:5月11日/スパフランコルシャン6時間(ベルギー)
第4戦:6月15-16日/ル・マン24時間(フランス)
第5戦:7月14日/サンパウロ6時間(ブラジル)
第6戦:9月1日/オースチンCOTA(USA)
第7戦:9月15日/富士6時間(日本)
第8戦:11月2日/バーレーン8時間(バーレーン)

標高が高く、パワーとエアロダイナミクスがポイントとなるインテルラゴス

サンパウロ6時間が行われるインテルラゴス・サーキット(正式名称アウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェ=Aut dromo Jos Carlos Pace)は、1940年にオープンした古き良きオールドファッションなコース。F1グランプリではおなじみだが、WEC世界耐久選手権の開催は2014年以来、10年ぶりとなる。

インテルラゴス・サーキットはコース全体がすり鉢状になっていて、スロットル全開の高速の外周と、リズミカルなインフィールドセクションが組み合わされている。

インテルラゴスの、インテル(=インター)は「間」、ラゴスは「湖」という意味で、その言葉が示すとおり、水と電気を供給すために作られたサンパウロ近郊のふたつの人工湖のほとりにある。なお、正式名称のアウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェは、ブラジル出身のF1ドライバー、ホセ・カルロス・パーチェに由来する。

このサーキットの特徴は全体がすり鉢状になっていて、スロットル全開の高速の外周と、リズミカルなインフィールドセクションが組み合わされていること。コース幅はそれほど広くないが、それも手伝ってスリリングでダイナミックなオーバーテイクが見られる。

最大のオーバーテイクポイントは長い高速の最終コーナー終わりにある1コーナー。丘の頂点に向かって全開で駆け上がるため、オーバースピードでコースオフするクルマも多い。また、コーナーにはバンクがついているところが多く平均速度は高い。

アップダウンがありパワーが要求されるが、標高が800mと高いためパワーが出にくく、エアロダイナミクスもポイントとなる。

インテルラゴス・サーキットのコース図。インテルラゴス・サーキットには、曲がりくねった低速セクション、長い登りの全開セクション、高レベルのダウンフォース、薄い空気、暑さ、天候の変化など、あらゆる要素が詰まっている。

逆転タイトル獲得に向けて好位置につけるトヨタ

ル・マン24時間レースで惜しくも勝利は逃したトヨタは、それでも2台の入賞で多くのポイントを獲得したことでポルシェとの差を12ポイントに縮め、ここから6シーズン連続のマニュファクチャラーズチャンピオンを目指す。

ル・マン24時間では底力を見せて最後まで優勝争いを演じたトヨタ。シーズン序盤は苦しい戦いとなったが、後半戦に向けて調子を上げてきた。

ル・マン24時間で2位に入った7号車トヨタは、ル・マン直前に自転車の事故で肋骨と鎖骨を負傷したマイク・コンウェイが無事回復し、小林可夢偉とニック・デ・フリースとともにドライバーズタイトル獲得に向けて万全の体制でのぞむ。

ディフェンディングチャンピオンである8号車トヨタ(セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮)は、ル・マン24時間では不運な形で優勝争いから脱落したが、再びエキサイティングな上位争いに加わることは間違いなく、どのようなレースを見せるのか興味深い。

2024年WEC第5戦サンパウロ6時間ハイパーカークラス エントリーリスト

2 キャデラックVシリーズ/キャデラックレーシング
5 ポルシェ963/ポルシェペンスキーモータースポーツ
6 ポルシェ963/ポルシェペンスキーモータースポーツ
7 トヨタGR010ハイブリッド/トヨタGAZOOレーシング
8 トヨタGR010ハイブリッド/トヨタGAZOOレーシング
11 イソッタティーポ6-C/イソッタ・フラスキーニ
12 ポルシェ963/ハーツチームイオタ
15 BMW M ハイブリッド V8/BMW Mチーム WRT
20 BMW M ハイブリッド V8/BMW Mチーム WRT
35 アルピーヌA424/アルピーヌエンデュランスチーム
36 アルピーヌA424/アルピーヌエンデュランスチーム
38 ポルシェ963/ハーツチームイオタ
50 フェラーリ499P/フェラーリAFコルセ
51 フェラーリ499P/フェラーリAFコルセ
63 ランボルギーニSC63/ランボルギーニ・アイアンリンクス
83 フェラーリ499P/リシャール・ミルAFコルセ
93 プジョー9X8/プジョートタルエナジーズ
94 プジョー9X8/プジョートタルエナジーズ
99 ポルシェ963/プロトンコンペティション

WEC第5戦サンパウロ6時間は、7月12日金曜日の2回の90分間にわたる公式練習セッションで幕を開け、現地時間13日土曜の15時10分から行われる予選とハイパーポールでスターティンググリッドを決定。決勝レースは14日日曜日11時30分(日本時間午後11時30分)にスタートが切られる。

2024年WEC第5戦サンパウロ6時間 タイムスケジュール

フリー走行1回目:7月12日金曜日10時45分〜(日本時間22時45分〜)
フリー走行2回目:7月12日金曜日15時15分〜(日本時間 7月13日3時15分〜)
フリー走行3回目:7月13日土曜日10時30分〜(日本時間22時30分〜)
ハイパーカー予選:7月13日土曜日15時10分〜(日本時間 7月14日3時10分〜)
ハイパーポール:7月13日土曜日15時30分〜(日本時間 7月14日3時30分〜)
決勝:7月14日日曜日11時30分〜(日本時間23時30分〜)

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