一度は見たい!「激レア高山植物」が咲く「東北の百名山」5選!

鳥海山に咲くチョウカイフスマ(撮影:川村亨)

高山植物のなかには、限られた地域にしか生息していない「固有種」が存在する。これらの固有種は、美しい花を咲かせて登山者を魅了し、山の象徴として親しまれている。

ただし花を咲かせる時期や場所が限られているため、情報を得ていないと見逃してしまうこともあるだろう。そこで、東北の山々で見られる高山植物の固有種に焦点を当て、その咲く時期や場所についてご紹介する。東北の限られた場所でしか体験できない景色を見にいこう。

■岩木山に彩りを添える、紅紫色の可憐なミチノクコザクラ

青森県にある岩木山では、ミチノクコザクラと呼ばれる高山植物が咲く。ミチノクコザクラはハクサンコザクラの変種といわれ、ハクサンコザクラよりも一回り大きい。花期は、6月中旬から8月中旬頃にかけてで、紅紫色の花を咲かせる。ミチノクコザクラが咲く場所は、百沢コース上の大沢上部や種蒔苗代(たねまきなわしろ)付近だ。お花畑にはロープが張られているところがあるので、内側に入らないよう観察しよう。

■早池峰山の岩礫地に咲く日本のエーデルワイス・ハヤチネウスユキソウ

岩手県に位置する早池峰山には、ハヤチネウスユキソウと呼ばれる花が咲く。ハヤチネウスユキソウはヨーロッパアルプスに咲くエーデルワイスに似ていることから、「日本のエーデルワイス」とも呼ばれている。綿毛をまとったような白い花をつける姿は、可憐さと高貴さを感じる。

ハヤチネウスユキソウの花期は、6月中旬から8月上旬頃。見られる場所は、早池峰山の標高1,400m以上の岩礫地や、やや乾燥した草地だ。

早池峰山に咲く高山植物の固有種は、ハヤチネウスユキソウのほかに、ナンブトウウチソウやナンブトラノオなどの珍しい植生が見られる。

■足元に輝く白い星・チョウカイフスマと下向きに咲く赤紫色のチョウカイアザミ

鳥海山は、山形県と秋田県の境に位置する山だ。鳥海山には「チョウカイ」の名を冠するチョウカイフスマやチョウカイアザミといった固有種が咲く。チョウカイフスマは、白い花びらが5つに分かれた花をつける。荒涼とした地に凛と咲く姿は、まるで星のような美しさを放っている。チョウカイフスマの花期は、7月から8月頃で、鳥海山や外輪山(がいりんざん)などの山頂部で見られる。

またチョウカイアザミは、赤紫色の花が下向きにつくのが特徴だ。ほかのアザミよりも大きく、存在感がある。チョウカイアザミの花期は、7月から8月頃であり、鳥海山の八丁坂から七五三掛(しめかけ)、外輪山コース上で見られる。

■晴天時の飯豊連峰で咲く青い宝石・イイデリンドウ

飯豊連峰は福島県と山形県、新潟県の境に連なる山だ。飯豊連峰には、青い花をつけるイイデリンドウが咲く。イイデリンドウは、花弁の間の副片が立ち上がっているのが特徴だ。

イイデリンドウの花期は、7月中旬から8月上旬頃。飯豊山(いいでさん)から御西岳(おにしだけ)、梅花皮岳(かいらぎだけ)、地神山(じがみやま)などの砂礫地で見られる。イイデリンドウは天気のよい日にしか花を咲かせないので、晴れた日に探してみるとよいだろう。

■その特徴的な見た目から「クワガタ」の名を持つ磐梯山のバンダイクワガタ

福島県に位置する磐梯山(ばんだいさん)には、バンダイクワガタと呼ばれる高山植物が咲く。バンダイクワガタはおしべとめしべが長く、花びらの外まで飛び出しているのが特徴的だ。また、花の形が兜と前部の角状の飾り(鍬形)に似ていることから、クワガタの名前がつけられている。バンダイクワガタの花期は、6月から7月頃で、沼の平周辺とその上部の岩礫地あたりで見られる。

■東北の山でしか見られない高山植物を見にいこう

東北の山々で見られる高山植物の固有種を5つご紹介した。固有種の高山植物は人気が高く、山のシンボルとして親しまれている。どの花々もユニークな花をつけ、登山者を惹きつける魅力がある。東北の限られた山でしか見られないので、その山々に登る際は時期を見計らって訪れてみてほしい。

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