子どもを対象とした犯罪に対して効果的な対策&犯罪を減らす為に必要な社会的なしくみ作りとは?【図解 犯罪心理学】

防犯対策とその問題点

犯罪を減らしていくためには、社会的な制度やしくみを変えていく必要があります。

具体的な例として最初に挙げられるのは「法的な規制」です。一番有名なのはアメリカでの銃規制でしょう。銃の保持については、犯罪の抑止につながるという意見もあるため、今後も議論が続くと思われます。

次に大切なのは「防犯教育」です。とくに子どもを対象とした犯罪に対しては、この効果が大きいと考えられています。

そして、近年注目を浴びている手法が「地域安全マップ」の作成です。これは、人ではなく場所に注目して、犯罪の起こりやすい地域を特定し、それを共有するものです。現在多くの小中学校で取り入れられ効果を上げています。

最後は「防犯カメラの設置」です。現在、街頭には数多くの防犯カメラが設置されています。効果については限定的なものになりますが、犯罪抑止という観点では有効です。

以上のように、さまざまな取り組みがなされていますが、子どもの防犯教育に対しては問題点も出ています。それは、人に対する不信感や警戒感を必要以上に感じてしまうということです。人との関係も構築しながら、犯罪を防ぐという、バランスのよい防犯教育が大切になっています。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 犯罪心理学』

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 犯罪心理学』
監修:越智啓太
監修者プロフィール
法政大学文学部心理学科教授。1965年、神奈川県横浜市生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科心理学専攻修了。警視庁科学捜査研究所研究員、東京家政大学文学部助教授、法政大学文学部准教授を経て2008年より現職。臨床心理士。専門は犯罪捜査への心理学の応用。著書に『犯罪捜査の心理学』(化学同人)、『ケースで学ぶ犯罪心理学』(北大路書房)ほか多数。

昨今、様々な事件や特殊詐欺など凶悪な犯罪が増えており、ニュースで犯罪に関する情報を聞かない日はないといえます。誰もが利用するSNSを介した犯罪も当たり前になっており、より巧妙化しながら身近に潜む問題にもなっています。こうした問題や実態について研究し、犯罪予防や再犯防止に役立てようとするのが『犯罪心理学』です。
犯罪心理学は、心理学の中でも実際の現場や実践に役立つことを目的とした“応用心理学”の1つで、特に犯罪行動・非行や犯罪者の心理・行動パターンに焦点を当てた研究分野です。専門書や教科書が多いジャンルですが、本書では図やイラストを用いて、1トピックを見開き1ページでわかりやすく解説。
“普通の人”が犯罪に手を出してしまう経緯、犯行内容から見える犯人像や周囲の環境、巧妙化する手口や防犯法など、知らなかった犯罪心理学を、楽しみながらもしっかりと学べる一冊です。

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