稀代の天才監督の珠玉の三作品、2024年もスクリーンに!【ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選2024】開催

ドイツを代表する伝説的な映画監督、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督の珠玉の三作品を集めた【ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選2024】が、2024年8月30日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次開催される。

『エフィ・ブリースト』『自由の暴力』『リリー・マルレーン 4Kデジタルリマスター版』の3作を上映

37 年という短い生涯で40 本以上もの作品を手がけたドイツの天才監督、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー。過激に、挑発的に、社会や人間のあり方を描き、その強烈かつ複雑な魅力は、今もフランソワ・オゾンはじめ多くの映画作家に影響を与えているほか、常に議論の的になり、また世界中の映画ファンの心を掴み続けている。
そんなファスビンダー監督の選りすぐりの傑作三本が、昨年に続き【ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選2024】と題して8/30より全国順次ロードショー!
上映作品は、19世紀ドイツの作家、テオドール・フォンターネの小説の映像化で、厳しい家父長制度のなかで違和感を抱き続けながら生きた若い女性を描く『エフィ・ブリースト』、ファスビンダー自身が演じる同性愛者の主人公が、愛した資本家の男とその家族たちに搾取されていく残酷な人間ドラマ『自由の暴力』、そして第二次世界大戦下、時代に翻弄された実在のドイツの女性歌手の半生を描く超大作『リリー・マルレーン 4Kデジタルリマスター版』。『リリー・マルレーン』は4K、『エフィ・ブリースト』と『自由の暴力』もそれぞれデジタルリマスターされた美しい映像で甦る。
この度、三作品それぞれのメインビジュアルが解禁。繊細なモノクロ映像が素晴らしい『エフィ・ブリースト』は、主演ハンナ・シグラの横顔を大きくとらえたもの。『自由の暴力』は「FOX」と記されたデニムジャケットを身に包む、主人公、フランツ・ビーバーコップの後ろ姿をデザイン。このどこか悲痛な後ろ姿は、劇中でも象徴的にあらわれることになる。『リリー・マルレーン 4Kデジタルリマスター版』は『エフィ・ブリースト』と同じくファスビンダーのミューズでもあったハンナ・シグラ演じる歌手ビリーの艶やかな姿をデザインした。彼女がまとう煌びやかなドレスをはじめ、当時の舞台を再現した圧巻の美術は、ぜひ4Kデジタルリマスター版で確認したい。

今回上映される三作品に描かれるのは、社会が生み出したシステムに抗いながらも押しつぶされていく個人の姿。恋人や家族間でさえ生じる抑圧や力関係。それでもなお、求めてやまない絶対的な愛やその先の死。今も<現実>な古びないテーマを、強烈かつ複雑な魅力とともに描ききるファスビンダー監督の珠玉の三作品に期待したい。

◆上映作品

『エフィ・ブリースト』(1974) ※日本劇場初公開!
原題:Fontane Effi Briest
脚本:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー 撮影:ディートリッヒ・ローマン、ユルゲン・ユルゲス
出演:ハンナ・シグラ、ウォルフガング・シェンク、カールハインツ・ベーム、ウリ・ロンメル
1974年 / 西ドイツ / 140分 / モノクロ
©︎Rainer Werner Fassbinder Foundation

ブリースト家の娘エフィは20歳も上のインシュテッテン男爵と結婚するが、男爵は年若い彼女をしつけようとする。それに違和感を抱いたエフィは若くて魅力的な夫の友人クランパス少佐と浮気をしてしまう。数年後、エフィと友人の裏切りを知った男爵は、クランパスに決闘を申し込むのだが…。19世紀ドイツの作家テオドール・フォンターネの小説の映画化であり、ファスビンダーにとっては後年の『ベルリン・アレクサンダー広場』にならぶ重要な<文学映画>。19世紀後半の家父長制度のなかで破滅の道をたどった女性の姿にファスビンダーが共感、彼の永遠のテーマでもある「社会への違和感」「夫婦、恋人間でのしつけや抑圧」が強くあらわれている。

『自由の暴力』(1974)
原題:Faustrecht der Freiheit
脚本:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、クリスチャン・ホホフ 撮影:ミヒャエル・バルハウス 
音楽:ペール・ラーベン
出演:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、ペーター・カテル、カールハインツ・ベーム
1974年 / 西ドイツ / 123分 / カラー
©︎Rainer Werner Fassbinder Foundation

身寄りはアル中の姉しかいない大道芸人フランツ・ビーバーコップは宝くじに当たったのをきっかけに、ブルジョワのゲイのサークルに入り込み、ハンサムなオイゲンに恋をする。一夜で富と愛を手に入れたフランツはオイゲンに貢ぐが、工場経営者の御曹司オイゲンと粗野なフランツとでは趣味も会話も何もかも相容れない。それでもひたすら愛を信じるフランツだったが、やがてふたりの齟齬は決定的となり・・・・・・。ファスビンダーが初めて男性同性愛を正面から取り上げた作品。ひとりの資本家の男に夢中になったばかりに、利用されるだけされ尽くされる主人公をファスビンダー自身が熱演。資本主義社会の冷酷さを暴きだすと同時に、愛の名のもとに展開される哀しく痛ましい暴力的な関係が、デジタルリマスターされた美しい映像で鮮烈に描かれる。

『リリー・マルレーン 4Kデジタルリマスター版』(1980年)
原題:Lili Marleen
脚本:マンフレート・プルツァー、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
撮影:ザヴィエル・シュワルツェンベルガー 音楽:ペール・ラーベン
主演:ハンナ・シグラ、ジャンカルロ・ジャンニーニ、メル・ファーラー、カール・ハインツ・フォン・ハッセル、クリスティーネ・カウフマン、ウド・キアー
1980年/ 120分/ 西ドイツ/ カラー
© 1980 by ROXY / CIP

舞台は第二次世界大戦下、ナチスの勢力が増すヨーロッパ。売れないドイツ人歌手ビリーは、ユダヤ系名門一家の息子で音楽家のロバートとスイスで幸せに過ごしていたが、ドイツからスイスへ戻る際にビリーだけ入国を拒否され、ふたりは離れ離れになってしまう。歌手としての成功を夢見るビリーはナチスの高官に気に入られ、「リリー・マルレーン」をレコードに吹き込むことに。「リリー・マルレーン」はひょんなことから兵士たちの間で大ウケし、ビリーはスターになる。そんなある日、ロバートが偽造パスポートでドイツに侵入し…。ファスビンダーのミューズ、ハンナ・シグラが時代に翻弄される歌手を熱演。盟友、ダニエル・シュミット監督のカメオ出演も見どころ。

提供:マーメイドフィルム 配給:コピアポア・フィルム

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