北海道は験のいい沖縄出身の嘉数光倫 ツアー自己ベストタイ「65」

験のいい北海道で、沖縄生まれの嘉数光倫が「65」(撮影/大澤進二)

◇国内男子◇長嶋茂雄招待セガサミーカップ 初日(11日)◇ザ・ノースカントリーGC(北海道)◇7178yd(パー72)

ビタッと来たショットがいくつもあった。「150ydから乗っただけとか悪いのもあるんですけど、手応えがあって1m前後についてバーディっていうのがありましたね」。嘉数光倫(かかず・てるみち)はボギーなしでマークした、ツアー自己ベストタイ「65」を満足そうに振り返った。

直近の数試合は良くなかった。前週「日本プロ」は48位、その前の2試合は予選落ち…。「北海道に入って、なんか勝手に良くなったんです。洋芝が得意な感じはあるんですよ、抵抗はあるけどスッと(ヘッドが)抜けるイメージがあるというか」と上向いた理由を考えるが、もっとシンプルな原因(?)がある。

「北海道でいい思い出? はい! あるんですよ」。2013年8月に日本プロゴルフ協会(PGA)資格認定プロテストに受かった場所が、苫小牧市のエミナGC。直後、北海道ブルックスCC開催の地区競技「北海道オープン」で優勝し、その資格で9月、札幌GC輪厚コース開催の「ANAオープン」でツアーデビューを飾った。キャリアハイの2位タイもプレーオフ負けした19年「ANAオープン」。沖縄県名護市生まれの34歳にとって、北の大地は験がいい。

北海道の洋芝は「得意な感じはある」(撮影/大澤進二)

なんとなくでも「いい」と感じるものを、素直にプラスに受け止める。5年以上前、母校・東海大でスポーツ心理学の高妻容一元教授から数回、メンタルトレーニングの基礎を学んだ。そこで得た「大枠」を自分なりにアレンジし、実践していることがある。

宿舎からコースまでの車内で好きな曲を聞いて…。よくある“アゲアゲ法”だが、日本のポップスならLiSAやYOASOBI、海外なら2018年公開の映画「ボヘミアンラプソディ」に感動して、クイーンをよく聞くようになった。

「“ボーン・トゥ・ラブ・ユー”とか、アップテンポのやつですね。それで気分を上げる」。今週はホテルからタクシー通いのため聞けないが…。また肝心のボヘミアンラプソディは曲調が壮大で抑揚が大きすぎるために聞かないが…。

とにかく上向きな要素をプレーに生かす手段は、自分なりに持っている。7アンダーの好スタートを切り、残り3日。「なんかいい感じ」の北海道で、待望のツアー初優勝を目指す。(北海道千歳市/加藤裕一)

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