「観光の目的となる宿泊施設がない」専門家が指摘 高級ホテルの開業ラッシュに期待

テレビ愛知

愛知県のホテルが魅力的になるためには、どのような工夫が必要なのか。ホテル評論家の瀧澤信秋さんに話を聞きました。

名古屋と仙台は、良いホテルが少ない

最も売れた宿泊施設は愛知県ではない東海エリアの良いお宿、1位から3位までが発表されました。唯一愛知県でランクインしたのが「301室以上」のカテゴリーで、ビジネスホテルがランクインしました。

――この結果について、瀧澤さんはどのようにとらえていますか。

「観光地のホテルはそもそものポテンシャルが非常に高いです。条件が揃っていることや立地エリアが味方についています。一方、都市型のビジネスホテルは、観光客が泊まる機会が増えています。しかし、ホテル自体が目的になりにくいです。高級ホテル、観光地の旅館はそこに行くこと自体が目的になりやすいですが、ビジネスホテルはあくまでも手段。宿泊施設であるところが違いになりますね」

――手段ではなく、「行くこと」を目的とした宿泊施設が愛知県には少ないのでしょうか。

「全国で見ると名古屋と仙台は、良いホテルが少ないといわれています。これは、東京から新幹線で日帰りできる圏内で、魅力的なホテルが育ちにくい環境だったことが理由として挙げられます。ホテルの差別化や、良いホテルができる環境の後れを取っていました。

また、名古屋は周辺に素晴らしい観光エリアがたくさんあるので、乗り換え地点や通過地点になりやすいといえます」

――現状を踏まえながら、宿泊施設のポテンシャルを高めたり、観光客に選んでもらったりするためにはどのような工夫が必要でしょうか。

「全国的なブームとなっているのが、突き抜けた高級感のある部屋やホテルを増やしていくこと。これが広告宣伝効果として注目されています。エリア全体がホテル宿泊施設、“都市”として注目されていくことが重要です。“名古屋にあってこそのホテル”なことも大事ですね」

今後開業予定のホテル、“名古屋の顔”になる?

――高級なホテルが建ち始めていますが、これらのホテルは広告や顔として成り立つようなホテルになりますか。

「名古屋は高級ホテルのカテゴリーでも、後れを取っています。福岡などと比べても外資系は少なくなっていました。しかし最近は増えてきており、ラグジュアリーなコンラッドホテルもできています。名古屋でどのように高級な展開をしていくのか、非常に注目すべき点だと思います」

――すでに注目され始めていますか。

「コンラッドは東京にあります。『あのコンラッドが名古屋にできるんだ』と、名古屋のホテル全体が注目されますね。

さらに東京にあるコンラッドよりもすごい部屋があるなど、プラスでホテルの魅力を出してもらい、エリア全体で“ホテルの名古屋”と言われればいいな、と思います」

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