安芸高田市・石丸伸二前市長の「どう喝」訴訟 市が上告断念 広島高裁の控訴棄却うけ「最高裁判所への手続きをとる理由に乏しい」石丸伸二氏は上告受理申し立て

広島県安芸高田市の 石丸伸二 前市長に「恫喝された」と虚偽の発言をされて名誉を傷つけられたとして、市議が石丸前市長や市に対して損害賠償を求めた裁判について、広島高裁は3日、安芸高田市に損害賠償の支払いを命じた一審判決を支持し控訴を棄却しましたが、安芸高田市は11日、上告を断念したことを明らかにしました。

安芸高田市は控訴棄却を受け、「争点となったいわゆる “恫喝発言” の有無についての事実認定、二元代表制に関する市長の裁量等の法的評価、その他諸般の関連事情を含めて総合的に考慮した結果、当市として最高裁判所への手続きをとる理由に乏しいと判断し、上告及び上告受理申し立てしないこととしました」とコメントしています。

一方で広島高裁によりますと、裁判の補助参加人である石丸伸二氏は上告受理の申立てをしたということです。

この裁判は、石丸前市長が2020年10月、市議会での別の市議の居眠りについて議会と意見交換したことを巡って、「敵に回すなら政策に反対するぞ、と説得?恫喝?あり」などとSNSに投稿。その後、どう喝したのは 山根温子 市議と議会で名指しし、翌月の市議選期間中にもSNSの投稿で言及したため、名誉を傷つけられ精神的な苦痛を受けたなどとして、山根市議が石丸前市長と市に損害賠償を求めていたものです。

去年12月、1審の広島地裁は「どう喝はなく、あったと信じるに足りる証拠もなかった」などと指摘。その上で「石丸市長はSNS上で広報活動をするに当たり、市長として職務上当然尽くすべき注意義務を尽くさず、山根市議の社会的評価を低下させ、名誉を棄損した」として安芸高田市に33万円の支払いを命じていました。

一方で1審判決は、投稿は “職務” とし、石丸前市長個人が賠償責任を負うものではないと判断していて、市側だけでなく、市議側も控訴していました。

広島高裁は、3日の判決で「(どう喝)発言をしたのが市議であると摘示されている以上、市議会議員としての社会的評価を低下させるものであることは否定できない」と指摘し、「議会内での発言や投稿に市長の政治的判断が含まれるとしても、裁量の逸脱が認められる」などとし、国賠法上の違法性を認めた1審判決を支持していました。

一方、石丸前市長個人の賠償責任については、控訴審でも棄却されています。

高裁判決後、山根議員は「安芸高田市はこの判決で、認められた賠償額をしっかりと求償権を使って石丸前市長に請求を行うべきだと考えています」と述べ、上告は行わない考えを示していました。

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