中国で「美食目当て」の旅行急増 観光業の新たな目玉に

中国で「美食目当て」の旅行急増 観光業の新たな目玉に

中国東北部の伝統的な美食「吉林烏拉満族火鍋」。(資料写真、長春=新華社配信)

 【新華社長春7月11日】中国各地でここ数年、「ご当地グルメ」が観光客を引き付ける重要な要素となっている。美食は訪れた人々の舌を満足させるだけでなく、地元の観光産業にも新たな活力を注入している。

 東北部の吉林省吉林市ではこのほど、豚肉のから揚げを甘酸っぱいタレにからめた名物料理「鍋包肉(グオバオロー)」の腕前を競う大会が開かれた。カリッと香ばしい黄金色の鍋包肉が鉄鍋で次々と揚がる姿は見応え十分で、ドリアン味やカレーバーガー味などさまざまな風味も登場。試食・展示・レジャーが一体化したイベントとして、多くの観光客やグルメ愛好家を引き付けた。

中国で「美食目当て」の旅行急増 観光業の新たな目玉に

吉林省集安市のご当地グルメ「高麗火盆」。(資料写真、長春=新華社配信)

 北京から訪れたという王予垣(おう・よえん)さんは「評判を聞いて来た。ネットの口コミで気になっていた本場の鍋包肉をついに味わうことができたし、変わり種も体験できた」と語る。美食目当てで遠出をするのははじめてでなく、山東省淄博(しはく)市の串焼きや甘粛省天水市の「麻辣燙(マーラータン)」を食べにいったこともある。王さんの周囲では「グルメ目当てで旅行に出かける仲間がますます増えている」という。

 「ご当地グルメ」は地元の観光業の推進力になっている。吉林市では世界鍋包肉大会の開催が追い風となり、市内の観光地33カ所が6月28~30日に受け入れた観光客は前年同期比25%増の7万3100人を数え、観光収入は38%増の232万700元(1元=約22円)に上った。

中国で「美食目当て」の旅行急増 観光業の新たな目玉に

6月29日、吉林省吉林市で開かれた世界鍋包肉(グオバオロー、東北風酢豚)大会で、巨大な鉄鍋で鍋包肉を揚げる調理人。(長春=新華社配信)

 中国では各地で四季折々の美食を堪能できる。二十四節気の清明には浙江省でタケノコを、芒種(ぼうしゅ)には雲南省でキノコを、秋分には江蘇省で上海ガニを、立冬には内モンゴルで羊の丸焼きを味わう。旅に出れば風景を楽しめるだけでなく、さまざまな味を体験できる。グルメは旅の目玉となり、美食・文化・観光の一体的な発展が、各地が観光客を引き付けるための鍵になりつつある。(記者/金津秀、王帆)

中国で「美食目当て」の旅行急増 観光業の新たな目玉に

6月29日、吉林省吉林市で開かれた世界鍋包肉(グオバオロー、東北風酢豚)大会で、鍋包肉づくりの腕前を競う調理人。(長春=新華社配信)

中国で「美食目当て」の旅行急増 観光業の新たな目玉に

6月29日、吉林省吉林市で開かれた世界鍋包肉(グオバオロー、東北風酢豚)大会で、調理された鍋包肉を試食する観光客。(長春=新華社配信)

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