小池都知事、さっそくの“与党参拝”石丸氏&立憲の評価急落は自民への“追い風”か? 執行部が抱く「危機感と安堵」

7月9日、自民党本部を訪れた小池百合子都知事

石丸伸二氏に逆転された蓮舫氏が、3位にとどまった東京都知事選挙。その陰に隠れ、あまり気づかれなかったNHKが発表した世論調査(7月5~7日)だが、立憲民主党の政党支持率に衝撃が走っている――。

7月8日の19時に公表された調査結果では、内閣支持率は4ポイントアップの25%で、支持しないは3ポイントダウンの57%と、支持率が不支持率の半分以下。岸田文雄政権の不人気ぶりは相変わらずの状況だったが、注目すべきは政党支持率だ。

自民党が28.4%(+2.9)だったのに対し、野党第1党である立憲民主党が5.2%(-4.3)と暴落した。ほかの政党に大きな変動は見られず、「とくに支持している政党はない」が47.2%(+3.2)となっている。

立憲民主党関係者は「蓮舫氏が3位に沈んだ都知事選の影響ではないか」と話す。

一方の、都知事選の勝者である小池百合子知事は、7月9日、首相官邸や公明党幹部、そして自民党本部へあいさつ回りをおこなった。自民党としては「ステルス支援」の結果、うまく“勝馬に乗れた”といえるだろう。

「自民党本部で小池知事はは幹事長だけでなく、東京都連の事務所や選対委員長室などを細かく、丁寧に回りました。国政進出はもう考えていない様子なので、3期めは都議会の自民、公明両党と協力しながらやっていくという感じになると思います。

自民側も、今後は小池知事と極端に対立することなく共闘し『戦略的互恵関係』を作っていくという方向だと思います。次の衆院選で、小池知事の都民ファーストの会が、東京の選挙区に候補を立てるような動きもないと思われます」(政治部デスク)

こうした状況を受けて、Xでは一部からこんな声があがっているのだ。

《岸田よ 惨敗を大敗くらいにはカバーできるぞ 解散するなら今だ》

《僕が岸田氏ならここで解散総選挙に打って出ます》

《その度胸あるかどうかは分からんけど、都知事選の後処理で立憲混乱しまくってるから解散するなら今しかないで》

では実際、自民党は“追い風”と受け止めているのか、自民党議員秘書は自虐気味にこう言う。

「少し上がったとはいえ、内閣支持率は相変わらず低調で、危機感を抱いています。都知事選と同日の都議補選では、2勝6敗とさんざんな結果に終わっていますし、立憲の支持率が暴落したからと言って、我が党への反発はいまも弱まっているとは言えませんよ」

世論調査でも浮き彫りになっている「無党派層」を都知事選でうまく取り込んだのが、石丸氏。そのため、国政進出の際には“台風の目”になるとの推測も、開票前は聞かれていた。

しかし、開票直後に受けた民放テレビ局でのインタビューでの受け答えに対して、「パワハラ上司みたい」「放送事故か」などといった批判がSNS上などで展開されている。人気に疑問符がつき始めているが……。

「石丸氏の人気が急落したからと言って、それだけで、次の衆院選が有利になるとは言えないでしょう。そんなことを考えようものなら『ぜんぜん反省していないじゃないか』って、有権者からお叱りを受けますから」(前出・自民党議員秘書)

前出の政治部デスクは、立憲民主党の支持率低下や石丸氏の“沈没”の影響について、こう話す。

「石丸氏のイメージ低下が、自民党の今後の戦略に影響を与えるかというと疑問ですね。むしろ蓮舫氏が3位となり、そして立憲の支持率が急落したことで、野党に吹いていた追い風がぴたりとやんだことには、自民党執行部には安堵と一服感が広がっています。

都議補選は厳しい結果ではありますが、東京15区補選では無党派層が立憲に乗るような動きがみられただけに、それが止まったのは好都合でしょう。

ある自民党幹部は『石丸が新党でも立ち上げて選挙区に候補を立てることまで考えていたが、維新のケースにあるように、手足で動く地方議員がいなければ難しい』と指摘します。

ただし、都議補選で結果が残せなかったことは、再選を目指す岸田首相にはマイナスではありますが……」

またも“政治屋”のしたたかさを見せつけられるのか。

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