INAC神戸社長 なでしこFWの海外移籍は選手の思い尊重 補強ではOG人脈などフル活用

INAC神戸の安本卓史社長

女子サッカー・WEリーグに所属するINAC神戸レオネッサの安本卓史社長がラジオ番組に出演し、6日に海外クラブへの完全移籍が決まったなでしこジャパンFW田中美南選手への思いなどを明かしました。

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4シーズンにわたってINAC神戸の絶対的エースとして君臨してきた田中選手。このたび、アメリカNWSLのユタ・ロイヤルズFC(Utah Royals FC)に完全移籍することになりました。

安本社長によると、田中選手との契約は2023-24シーズンをもって満了し、来る新シーズンに向けてクラブとしては契約を延長する予定だったといいます。ただ、なでしこのエースストライカーには今回、好条件のオファーが届いたようで、移籍の意志を聞いたときにはクラブ幹部として「ショックを受けた」と本音も。

それでも、田中選手の4シーズンにわたる獅子奮迅の活躍など、クラブへの多大な貢献に感謝の思いを述べた安本社長。「(海外移籍準備のため退団した)山下杏也加選手もそうだが、さすがにあのクラスになると、これからの現役生活も踏まえて(海外への移籍を)送り出すべきだと。そこは皆さんに理解していただきたい」と、選手の思いを尊重した移籍であることを強調します。

そのうえで、安本社長は「これまで移籍していった選手でクラブが出した選手はひとりもいないし、私はWEリーグやなでしこリーグ時代から、ゼロ円提示したことは一度もない。ゼロ円提示したことがないのが誇り」と、クラブの代表としての矜持を語っていました。

一方、INAC神戸は5日から8日にかけて、新加入選手を続々と発表。同じWEリーグのジェフユナイテッド市原・千葉レディースからU-20日本女子代表GK大熊茜選手とジャマイカ女子代表DFビアン・サンプソン選手が加わったほか、元U-20韓国女子代表MFイ・スビン選手(華川KSPO WFC/韓国)と、スペインからDFカルラ・モレラ選手(デポルティーボ・アラベス/スペイン)、FWカルロタ・スアレス選手(グラナダ/スペイン)、MFパオラ・ソルデビラ選手(ヴィリャレアル/スペイン)を獲得しました。

ジョルディ・フェロン監督2シーズン目となる2024-25シーズンでは、指揮官のかつての教え子などスペイン人3選手をそろえたINAC神戸。外国籍選手を一挙5人も獲得したことについて、安本社長は「優勝を目指すとなったとき、(WEリーグ)他クラブの顔となるような選手の引き抜きは難しい。若手も育っているが、主となる選手との競争も大事で、今回は海外に目を向けた」と意図を説明。約1か月間、かなり綿密な調査を行ったなかで、INAC神戸にあう「動ける選手」を揃えたといい、「層は厚くなったと思う。ファン・サポーターの皆さんはいろいろ思うこともあるかもしれないが、いまINACとしてできる補強は全力を尽くしたつもり。新シーズンは国際色豊かになる」と胸を張っていました。

さらに、イ・スビン選手に関する情報を、華川KSPO WFCでチームメイトだったINAC神戸OGから聞くなど、クラブのネットワークをフル活用したことも、今回のラジオ生放送で披露していました。

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