民宿「夏休みの予約が全部パー」大雨で県道崩落、孤立している集落の今 児童生徒は通学できず、郵便局も閉局

記録的な大雨により9日、島根県出雲市の県道が崩落し、その先にある日御崎地区は孤立状態となっています。BSS山陰放送の取材班が11日、その孤立集落に入りました。

大雨により地区につながる唯一の県道が崩落し、孤立してしまった日御崎地区。現在も235世帯の孤立状態が続いていて、地区の児童や生徒25人はきのう学校を欠席するなど、通学が難しい状況になっています。

きょうも崩落現場では復旧に向けた調査などが行われていました。

取材班は11日、崩落現場近くの迂回路を安全に留意して通り、孤立している日御崎地区に入りました。取材したのは、日御崎にある宇龍という集落です。

民宿を営む女性
「連休だめでしょう。8月の予約も全部パー。生活に困るわ」
「(夏は予約でいっぱいでした?)予約全部キャンセルになっちゃった」

日御崎に暮らす人の半数以上が、この宇龍で暮らしています。

幸いにも、電気や水道などのライフラインに影響はありませんでしたが、出雲市大社町へと続く唯一の道路の崩落に、住民は困惑の様子を隠せません。

住民
「どうしようかなって。全く考えがつかんですよね。同じところ2度目なんで。自分が中学校1年生の時にも同じことがありました。仕事でもプライベートでも使う。あれ1本しか道がないんで」

「(学校は?)休み」
「(学校で何したい?)友達と遊びたい」

「ここで漁業やってます。これから何年かかってやるかわからんけど、復旧を早くやってもらわないと大変」

そしてこちらは宇龍地区唯一の商店です。

商店の男性
「牛乳も明日入ります。明日一通り入ります」

店主に店の中を見せてもらいました。

土江諒 記者
「野菜などは、なかなか棚にはないですね…」

日用品などを取り扱うこの商店。道路崩落で思うように仕入れができず、野菜や肉などの商品は棚から姿を消していました。

商店の男性
「食品は現場まで運んでもらって、徒歩で荷物を運ぶ。明日は手配してほとんど品物を入れるようにしています」

そんな中、宇龍港を出港しようとする一隻の船を見つけました。国交省の港湾業務艇「はくしゅう」です。

澤田祥太 記者
「午前9時20分大社港です。緊急物資を積んだ船が、間もなく出ようとしています」

けさ、近くの大社港から、出雲市からの依頼を受けた「はくしゅう」が水やアルファ米、ダイコン、パンなどを積んで宇龍港に向かったのです。

出雲市の飯塚市長も船に乗って現場入りしました。

出雲市 飯塚俊之 市長
「地元の方々とも意見交換する時間があるので、そこで我々が持っている情報も共有していきたいと思いますし、要望も聞いて支援ができるよう体制を組んでいきたいと思います」

そして、この船で届けられた支援物資は、地区のコミュニティセンターに運ばれていました。

午後には日御崎の住民や災害派遣医療チーム「DMAT」などが集まり災害対策本部会議が開かれ、今後の対応などを協議していました。

そして、復興に向けた動きはこちらでも。

日本郵便 出雲西部地区 四方田伸也 統括局長
「日御崎郵便局、道路が崩落したために止めているんだけど…」

宇龍地区内にある日御崎郵便局です。おととい午後に孤立して以降閉局していますが、一刻も早い復旧に向け、職員が訪れていました。

日本郵便 出雲西部地区 四方田伸也 統括局長
「道路がきちっとできていれば問題ないんですけど、社員の安全確保と地域の安全確保第一で」

書き入れ時、夏休みを前に孤立してしまった集落。崩落した県道の修復の目途は立っていませんが、一刻も早い孤立解消が望まれます。

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