【現地記者が選ぶプレミア歴代ベスト11(5)】「ルーニーもケインも彼の前では沈黙するしかない」ストライカーを最前線に

1992年に創設され、いまや欧州トップリーグの地位を確立しているプレミアリーグ。多くのトッププレーヤーが活躍してきたこの32年の歴史のなかで、最高の11人を選ぶなら誰か。5人の英国人記者に歴代ベストイレブンを選出してもらった。第5回はマット・バーロウ記者だ。

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プレミアリーグ史上もっとも偉大なGKはピーター・シュマイケルだ。マンチェスター・ユナイテッドの当時の圧倒的な強さは、守護神シュマイケルの傑出したゴールキーピングによって担保されていたと言えるだろう。

シュマイケルには及ばないとはいえ、ペトル・チェフ、デイビッド・シーマン、そして卓越したボールスキルとパスセンスを備え、GKというポジションを再定義したエデルソンとアリソン・ベッカーも特筆に値する。

右SBは、マンチェスター・シティで質の高いパフォーマンスを続けるカイル・ウォーカーが、ユナイテッドのレジェンド、ガリー・ネビルを凌駕した。左SBはアシュリー・コールが抜きん出たナンバー1だ。

名手が居並ぶCBは、ボールスキルとビルドアップの能力を併せ持つ現代型のリオ・ファーディナンドとフィジル・ファン・ダイクを選出。もちろん、ともにスピードとパワーを駆使した1対1守備も隙がない。

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中盤は、ロイ・キーンとケビン・デ・ブライネのペア。アグレッシブなエンフォーサー(用心棒)のキーンと、華麗なクリエーターのデ・ブライネは完璧な組み合わせだ。

スピード、ドリブル、得点力を高い次元で備えたモハメド・サラーとティエリ・アンリを両翼に配し、トップ下はボールスキルとクリエイティビティーが群を抜くデニス・ベルカンプ。この2列目とともに相手ゴールに迫るのが、プレミアリーグ歴代トップスコアラー、アラン・シアラーだ。ウェイン・ルーニーも、ハリー・ケインも、通算260ゴールのシアラーの前では沈黙するしかない。

指揮官は、アレックス・ファーガソン以外の名前を挙げることはできない。サー・アレックはマンチェスター・ユナイテッドを率いて20年以上に渡ってプレミアリーグを支配し続け、ヨーロッパの覇権も握った。それも、スピーディーでアグレッシブなアタッキングフットボールで。13回のプレミア優勝は誰も近づけない金字塔だ。

アーセナルを通してイングランドのフットボールに革新をもたらしたアーセン・ヴェンゲルが次点。プレミア優勝は3回とタイトルにはそれほど恵まれなかったが、あの頃のアーセナルは本当に美しかった。

◎バーロウ氏が選出した2ndイレブン
GK:ペトル・チェフ(チェルシーなど)
DF:ガリー・ネビル(マンチェスター・U)
DF:ヴァンサン・コンパニ(マンチェスター・C)
DF:ジョン・テリー(チェルシーなど)
DF:デニス・アーウィン(マンチェスター・Uなど)
MF:パトリック・ヴィエラ(アーセナルなど)
MF:スティーブン・ジェラード(リバプール)
MF:クリスティアーノ・ロナウド(マンチェスター・C)
MF:ポール・スコールズ(マンチェスター・U)
MF:エデン・アザール(チェルシー)
FW:ウェイン・ルーニー(マンチェスター・Uなど)

■マット・バーロウ
著者プロフィール/英国で最も売れているタブロイド紙『デイリー・メール』のベテランフットボールライター。優れた観察眼を持ち、卓越した表現力で事象を鋭く批評する。10代の頃に、友人と観戦に訪れた試合で死者を出す大惨事に遭遇。いわゆる「ヒルズボロの悲劇」を現場で目の当たりにした過去が。

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