「低体温と酸欠 あそこにいたら命の危険が」富士山九合目で動けなくなった登山客が…救助活動の一部始終 静岡県側山開きから2日間で3人死亡

7月10日に山開きした富士山では、初日から雨、風ともに強まり、大荒れの天気となりました。登山客の遭難が相次ぎ、4人が警察に救助され、3人が死亡しました。

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<社会部 河田太一平記者>
「きのうの暴風雨から一夜明け、現在、雨は弱まっているのですが、依然、風は強い状況です」

富士山では、11日も荒れた天気が続きました。10日は多くの人が登山をやめ、山小屋に避難するなどしました。静岡県警の発表によりますと、開きの初日と2日目で4人が救助され、3人が死亡しました。40代から70代の男性は山頂付近で滑落。60代の男性は七合目付近の登山道で、77歳の男性は八合目の登山道で倒れていました。

10日の富士宮口九合目です。「登山中、動けなくなった友人がいる」と山小屋に連絡が入りました。

<救助の様子>
「OKラスト」

<伊部桜輔カメラマン>
「いま、外で動けなくなっていた人が山小屋に運び込まれてきました」

<救助の様子>
「脱がせよう、これじゃあ風邪ひいちゃう」

<救助に向かった山小屋の従業員>
「素人は(救助は)滅多にやらない。たまたま近かったから助けられた。(男性の様子は)疲れちゃったみたい、足が上がらなかったみたい。声を掛けながら助けた」

山小屋のスタッフや登山者が毛布や着替えを用意するなど、救護が行われました。

「無問題」

<登山ガイド 小野原せいかさん>
「低体温と酸欠。あそこにいたら命の危険が。暖かいペットボトルで体を温めて少しずつお湯を飲んだ。胸のあたりをはじめに、徐々に全体を温めた」

「さっきより安定してきた」

懸命な救護のおかげで、真っ白だった男性の顔色が元に戻ってきました。

<登山ガイド 小野原せいかさん>
「砂糖水もいいと聞いたことがある。今回(救助された男性)はお汁粉を飲めた。高山病になってなくて吐くことが無かった」

急変する山の天気。富士山でガイドをしている女性は、不安を感じたら下山を選択してほしいと呼び掛けます。

<登山ガイド 小野原せいかさん>
「自分たちが登ってきて30分で(天気が)急変した。山の天気は急変する。急変した時は下に。下にいれば救助もしやすい」

救助された男性は11日の昼には、自分で歩いて下山できるほど回復しました。

<登山ガイド 小野原せいかさん>
「お客さん、小屋のスタッフの協力で助かった。山ではそこにいる人たちで全力を尽くす。本当に良かったです」

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