タマネギが高騰…春夏出回る佐賀県産が多雨で不作、夏からの主産地・北海道は異常気象に警戒

流通量が減少(C)日刊ゲンダイ

カレー、ハンバーグ、サラダなど、家庭料理に欠かせないタマネギの価格が上昇している。

東京都中央卸売市場での今月8日時点の卸値は、平年比143%の1キロあたり177円という高値で推移している。背景には、春から夏にかけて流通するタマネギの主な産地、佐賀県での不作がある。

「佐賀県では4月以降、雨が多く、根が腐ってしまうなどして生産量が減少しました。タマネギの産地が北海道に切り替わる8月にならないと、価格は落ち着いてこないでしょう」(農林水産省の園芸作物課)

タマネギは季節によって産地を変えることで、一年中流通するようになっている。産地の切り替えがスムーズにいけば、高騰は収まるというのだ。

しかし、近年の異常気象は、夏からの主な産地である北海道も例外ではない。2021年夏は、干ばつの影響でタマネギの収穫量が3割減。昨夏は、猛暑の影響で不作。いずれも都内の卸売価格は一時、2倍近くまで高騰し、全国規模でタマネギの流通が滞る事態となった。

日本一のタマネギ産地として知られる北海道・北見市の「JAきたみらい」の担当者はこう話す。

「近年は夏に、雹が降ったり、集中豪雨に見舞われたりと、必ずしも断定はできませんが、異常気象とみられる天候不良が確認されています。タマネギの栽培に影響が出る可能性もあるので、これから収穫時期まで、注意深く見ていかねばなりません」

北海道農政部が発表する今月1日時点での「農作物の生育状況」によると、タマネギの生育は「平年並みに進んでいる」。今のところ生産に問題はない。

「北見地域でも、生育は順調に進んでいます。悪天候など不透明な要素はありますが、引き続き栽培管理を徹底していきたい」(JAきたみらい)

タマネギ価格の落ち着きも期待できそう。あとは、天候不良にならないことを祈るだけだ。

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