国民・玉木代表の肝いり「AIゆういちろう」に質問してみた 「消費税」「給料」「小池知事3期目」に対する答えは?

玉木雄一郎代表(C)日刊ゲンダイ

東京都知事選挙の翌日となる7月8日、国民民主党の玉木雄一郎代表の名を冠した「AIゆういちろう」が、ひっそりとデビューを果たしていた。

「AIゆういちろう」は、サービスの公式サイトによると「国民民主党代表・玉木雄一郎の国会での発言などを学習したAI(カスタマイズ学習したChatGPT)です」とのこと。併せて公開されている玉木代表を意識した生成動画では、「私は一方的に話すだけでなく、皆さんと会話できます」と、対話型のツールであることが強調されている。

また本人の公式YouTubeチャンネルでは、AIを利用して誕生し、都知事選に実戦投入された、小池百合子知事の“生き写し”とも言える「AIゆりこ」(実際にはAIを利用して作成した生成動画)について、「やられたな(と思った)」と明かすシーンがあった。これらのことから、玉木代表がAIの利用についてなかなかの気合の入りようであることが分かる。

■「消費税は廃止できないんでしょうか?」→「現時点では難しいとされています」

対話型のツールと言うことで、さっそく質問をぶつけてみた。文字と音声のどちらでも質問できるということだが、まずは文字から。文字版を起動させると、「こんにちは『AIゆういちろう』です。政策の事を聞いてください」とのメッセージが表示された。

さっそく、「消費税は廃止できないんでしょうか?」と入力。しばしの間をおいて、以下の文章が表示された。

「消費税の廃止については、現時点では難しいとされています。消費税は国の歳入の一部を賄うための重要な税収源となっており、廃止することで財政面での影響が懸念されています。ただし、消費税率の引き下げや税制の見直しなど、消費税に関する議論は常に行われており、国民の声や経済状況に応じて柔軟に対応される可能性もあります。詳細な議論や提案がある場合は、それに基づいて議論が進められることが考えられます」

内容は、「廃止は難しい」という結論を冒頭に示しつつ、その理由などを語る生成文だ。

続いて「国の政策で庶民の給料を上げることはできますか?」と入力。これに対しては、「国の政策によって庶民の給料を上げることは可能です。例えば、国民民主党では『給料が上がる経済』を実現するための政策を掲げており、以下のような取り組みが行われています」という文章に続いて箇条書きで、「家計減税」「現金給付」「税・社会保険料と債務の減免」「未来への投資」について答える生成文が表示された。

■「小池百合子都知事の3期目はどのようなものになると予想していますか?」

「政策の事を聞いてください」と言われてはいるものの、「小池百合子都知事の3期目はどのようなものになると予想していますか?」と、終わったばかりの都知事選について聞いてみた。

これに対しては、「以下のような政策が期待されるかもしれません」としながら、「デジタルインフラの整備」「災害対策の強化」「環境問題への取り組み」「老人福祉や子育て支援の充実」と、やはり箇条書きで回答がなされた。

「蓮舫さんはなぜ3位になってしまったんでしょうか?」との質問には、「選挙結果に影響を与えた可能性のある要因としては、選挙戦略や政策提言の内容、個人のイメージや人気度、他の候補との比較などが挙げられます」といった、AIゆういちろうなりの分析をした生成文で回答。

ただ、「石丸伸二さんの話がかみ合わないのはなぜですか?」という質問は、さすがに回答不能だったようだ。

「私は政策についてのAIなので、石丸伸二さんの話がかみ合わない理由についてはお答えできません。政治や行政に関する質問があればお知らせください」

■「『国民民主党の政策に興味を持ってもらうためのツール』の域を出ない」

「AIゆういちろう」にいくつかの質問をして感じたのは、「答える」という要素がある以上、「AIゆりこ」よりは、国民と向き合ったAIの使い方ではないかということだ。ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「基本的にはその認識で問題ないが、『AIゆりこ』はもちろん『AIゆういちろう』も、あくまで『ネット上のガジェット』の内の1つという認識にとどめておくべきでしょう」としながら、以下のように論評した。

「政策について聞いてくれとのことですが、だとしても、あくまで『国民民主党の政策に興味を持ってもらうためのツール』の域を出ないでしょう。また、AIですから質問によっては突拍子もない回答をする可能性もありますから、そもそも出てはいけないと思います。あと、私も『AIゆういちろう』を使って政策について聞いてみましたが、正直、『玉木さんらしさ』が全く伝わって来ず、面白みがありませんでした。ご本人の発言などを学習させたという触れ込みですが、正直、普通のChatGPTだったと思います。意外と、『個人的な悩み』といった変化球を投げてみれば、もう少し本人らしさが出たりするのかなと思ったりもしました」

そこで、最後に「今、付き合っている方と結婚しようか迷っています。玉木さんはどのようなポイントで結婚を決断しましたか?」という質問を「AIゆういちろう」にしてみた。その答えは……都知事選で2位につけた石丸伸二氏について聞いた先程の質問の時と同じ回答だった。

「私は政策についてのAIなので、結婚に関する個人的なアドバイスはできません。政治や行政についての質問があればお聞きください」

やはり、政策以外は聞いてはいけないようだ。

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