社会主義国である朝鮮では政府機関だけでなく、国営企業でも職業特性に応じてユニホームが定められている。パイロットや客室乗務員、車掌、デパートやレストランの接客スタッフなど、それぞれ特色があるが、近年、そのデザインが一新され、話題を呼んでいる。
リニューアルの司令塔となっているのは中央産業デザイン局。国の産業デザインを統一的に指導する政府機関だ。
朝鮮では2010年頃から経済発展における産業デザイン(インダストリアルデザイン)の役割を重視し、経済の各部門でデザイン先行の製品開発が進められてきた。職業制服のデザイン一新も、デザイン重視の流れを受けたものだ。
「政府機関、企業のユニホームを、それぞれの職業の職場環境や業務特性に応じて、また季節に応じて新しくデザインしました」と話すのは、中央産業デザイン局の責任審議員チョ・フィギョンさん(57)。
職業制服といえば、主に工場や商業・サービス施設で働く従業員らが着用する作業服を指したが、最近では保健省をはじめとする内閣の各省でもスタッフらが着用する統一のユニホームがつくられるようになった。
制服デザインについてチョさんは、「デザイン性を追求しながらも、色や形状でそれぞれの職業を判別できるよう努めました」と話す。
例えば、日本の気象庁にあたる気象水文局のユニホームは、青色とグレーを基調に統一性を持たせながらも、職務内容によって配色や色が占める比重を変えた。管理職は全体に占めるグレーの比重を大きくして開襟のジャンパー型に、気象予報を担当する職員はブルーの比重を大きくして詰襟にネクタイでフォーマルスタイルに仕上げた。
ユニホームの制作においては、産業デザインの専門企業や美大などに所属するインダストリアルデザイナーらが現地に赴き、当事者たちの意向に沿ったデザイン案をコンクールで審議して決定している。