「米国が保有しているか、開発中にある同じ兵器システムを我々が開発、試験するからといってこれを非難するのは明らかな二重基準である」。
朝鮮外務省スポークスマンの談話だ。いま、国防力発展という主権国家の正当な自衛権行使に言いがかりをつけるなと主張する国は朝鮮だけではない。
先頃、英「フィナンシャルタイムズ」は、中国が今年夏に極超音速ミサイルを試射したと伝えた。
米国は冷戦時代、旧ソ連が人類力史上初めて人工衛星発射に成功した「スプートニクショック」と引き合いに出し、中国の軍事的脅威を鼓吹した。
一方、中国外交部の報道官は、今回のテストが宇宙船の再利用技術を検証するためのものであり、世界的に多くの会社が類似したテストを行っていると反論した。
そして米国が極超音速ミサイル開発に拍車をかけていることを指摘し、「米国は各国が正当な国防能力を発展させていく権利を尊重し、『中国脅威論』を口実にした軍備拡張をやめなければならない」と主張した。
音速の5倍(マッハ5)以上で飛び、操縦可能な極超音速ミサイルは、迎撃が極めて難しく、戦争の形態を変える「ゲームチェンジャー」と呼ばれている。
中国、ロシアがこの兵器開発で先んじているのは事実だが、世界で最初にこの兵器の開発に着手したのは米国だ。
朝鮮も9月に極超音速ミサイル「火星-8」型の試射を行った。
米国は10月にこの兵器の部品の測定実験に成功し、来年10月からは極超音速ミサイルの試射を行うと公言している。
「中国脅威論」、「北朝鮮脅威論」は軍備競争を激化させている張本人の正体を隠し、国際社会の視線を他に向けるためのものだ。
米国は他国の自衛力強化を非難し、危機感を煽ることで、自国の軍事力を拡大する口実をつくりだしている。