企業の経営状況を「未病」概念を取り入れて診断する黒岩祐治知事肝いりの施策を巡り、11月30日の神奈川県議会本会議で代表質問に立った自民党の柳下剛氏と知事の間で激しい応酬が繰り広げられた。
柳下氏が疑問を呈したのは、県が中小企業向けに2018年11月に始めた「企業経営の未病改善」の取り組み。チェックシートの設問に答えて経営状態を診断し、専門家への相談などにつなげる。経営状態を健全か不振かでとらえるのではなく、その間の段階的変化を未病状態として「見える化」するのが特徴だ。
ただ、このシステムによる相談企業数は減少傾向で、21年度は県が目標とした1万社に対し1087社にとどまった。柳下氏は「経営に未病の考え方はそぐわない」と見直しを求めた。
知事は「多くの企業から大変素晴らしい取り組みと評価してもらっている。経営を救う大きなツールで変更するつもりは全くない」と拒否。柳下氏が「なぜ未病の言葉にこだわるのか」と食い下がると、知事は「(柳下氏こそ)未病という言葉になぜこだわるのか分からない」とおうむ返しで応酬し、「未病」論議は最後までかみ合わなかった。