昨年5月、神奈川県内在住者に「殺害して天罰下る」などと記したはがきを郵送したとして、脅迫罪に問われた無職男性(75)の判決公判が30日、横浜地裁であった。藤原靖士裁判官は「被告には害悪を加える意図・認識はなかったと認められる」として、無罪(求刑懲役6月)を言い渡した。
はがきには、「殺害して天罰下る。自業自得。ご一家おそろいで奈落の底へどうぞ」などと記されており、検察側は「被告が被害者とその家族を殺害」と読むべきとして脅迫行為に当たると主張。実害を加える告知と評価できるか否かが争点だった。
判決で藤原裁判官は、はがきが郵送される前から2人がやりとりしていたことに触れ、はがきの文言は「被害者が被告を殺害すれば、被害者に天罰が下る」との意味だと指摘。脅迫行為の該当性については「故意を認めることはできない」とし、被告は「殺害予告であるとの誤解が生じる恐れがあると考えていなかったとみるのが、自然かつ合理的」と結論付けた。
判決によると、被告は2022年5月21日ごろ、千葉県内の郵便ポストから神奈川県内在住者宛てに「殺害して天罰下る」などと記したはがき1枚を郵送した。