食べられるロボット、実際に食べてみると……世界初〝食用〟ロボットはどんな味?

■食べられるロボットを開発、実際に食べてみると…

電気通信大学と大阪大学の研究グループが、非常にユニークなロボットを開発したと発表し、話題を呼んでいる。それは“人が食べることを目的としたロボット”である。ゼラチンと砂糖を主原料とし、市販のグミ程度の硬さの食べられる素材で作ったロボットを作成したそうだ。空気圧によって駆動し、リンゴのような味がするという。

研究グループによると、食べられる素材を用いたロボットの開発は各所で行われていたという。しかし、食べた時の心理的な影響についてはわかっていなかった。研究により、世界で初めて、ロボットが動いているときに食べると、人の知覚と食感に変化が生じることを明らかにしたそうだ。あまりに奇想天外すぎて驚きの連発である。

実験の参加者は、動いている状態のロボットを食べると、ロボットに対して知性、感情、生き物らしさ、罪悪感、および新鮮さをより強く知覚することが報告されたという。さらに、食感をオノマトペで表現した際、条件によって異なる表現が使用されたそうだ。また、参加者は縦方向に振動するよりも、横方向に振動する動作に対して生きているような感覚を強く抱くことがわかったという。

■漫画やアニメがロボットへの感情に影響している?

日本は世界屈指のロボット大国である。国内有数の高収益企業のファナックは世界をリードする産業用ロボットメーカーであり、大学でもロボットを研究する研究室は非常に多い。そうした研究者には、鉄腕アトムやガンダム、マジンガーZなどの漫画・アニメに登場するロボットを見て、ロボットを開発したいと思ったという人が少なくない。

江戸時代の茶運び人形も当時のロボットといえるが、日本発のロボットの特徴はかわいい外見とし、キャラクターのような雰囲気を持たせようとする例が多いことである。かつてホンダが開発していた二足歩行ロボットのASIMOや、ソニーのペットロボットのaiboなども実に愛らしい。ここにも漫画やアニメの影響が表れているのかもしれない。

ロボットと人間が恋愛する描写も、日本の漫画に、手塚治虫を筆頭に多くの漫画家によって描かれてきた。1990年代になると、美少女ゲームや萌え系アニメの中に“メイドロボット”が数多く登場した。それらのメイドロボットはもちろん無機質な姿ではなく、人間そのもののような愛らしい見た目になっており、やはり主人公と恋愛関係になったりするのだ。

思えば、日本人は物にも魂が宿るという考え方をもってきた。それゆえ、ロボットもパートナーとして大切にしようという思いが強い印象を受ける。こうした背景から、動いているロボットだと、自然に「かわいそう」という感情を抱くのであろう。これは日本人特有のものなのではないかと、筆者は推測してしまうが、いかがだろうか。

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