ツツジの「名所」は大丈夫? 佐世保市の長串山公園 花付き悪く…危ぶむ声も 長崎

(1)は2017年4月20日に撮影された景観。(2)は今年4月17日に撮影した景観=長串山公園

 10万本を誇る長串山公園(長崎県佐世保市鹿町町)のツツジの花付きが悪くなり、地元住民らから対策を求める声が上がっている。最も古いツツジで植樹から55年が経過し、樹勢が弱まっているとみられる。市は本年度から北九十九島エリアの滞在型観光に乗り出す考えだが「名所」の地位を危ぶむ声が広がっている。
 「あまりきれいじゃないという負のイメージが、うわさになっている」。6月24日の市議会一般質問。地元選出の宮田京子議員は、“老木化”が進む現状を憂いつつ市をただした。約8.5ヘクタールに平戸ツツジや久留米ツツジなどが植樹された同公園。溝口勝利都市整備部長は「将来的には全体的な植え替えの検討が必要」との認識は示したものの、具体的なスケジュールは示さなかった。
 どのくらい花付きが悪くなったのか。写真(1)は、本紙が撮影した7年前の2017年4月20日の景観。写真(2)は、今年の4月17日にほぼ同じ場所を撮った様子。見比べると(1)はピンクや赤い花が山肌を彩っているが、(2)は花付きが悪く、斜面は緑色が目立っているのが分かる。
 専門家らによると、花付きが悪くなる要因はさまざまなケースがある。市造園建設業協同組合の西田厚志理事(68)は、塩害や高温、黒斑病などの病気を挙げ「土壌環境にもよるが、小まめな剪定(せんてい)や施肥をする必要があり、この規模の管理は大変」と話す。近年の温暖化による異常気象を指摘する声もある。
 市担当者は「何が原因か具体的に特定できていない」とする。市から管理運営を任されている指定管理者は、枯れた株を定期的に植え替えているが、抜本的な改善にはなっていないのが現状という。
 「名所」としての地位を保ったまま花付きを復活させるには段階的に植え替える必要がある。西田理事は「植え替えると3~4年は花が満開にならない」と説明。「つつじまつり」の時期は入園料を取っていることを踏まえ「入園料を徴収するのであれば現状の景観に配慮しつつ計画的に植え替えた方がいい」と指摘する。
 長串山公園のツツジは1969年の長崎国体を記念して植樹されたのが始まり。宮田議員は、最盛期の頃を懐かしみながら、市が本年度から力を入れる滞在型観光に「長串山公園のツツジは欠かせない」と力を込める。
 年々、花付きが悪くなっていると感じている鹿町町の桃野哲さん(76)は「せっかくの景観がもったいない。ツツジだけではなく一年中、楽しめるよう、ほかの景勝地や温泉施設などを生かして集客増を図ることも一つの手ではないか」と市の観光活性化対策に期待を込めた。

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